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広告のよしあしを決めるのは「コンセプト」! その4

17.05.12 |

「コンセプト」とは、広告ビジネスになくてはならないもので、いわば「大方針」です。広告以外にも、いろいろと役に立つ考え方だと前回までお伝えしてきました。 

今回はこのコンセプトに関する記事の最終回です。 

コンセプトの重要性や有用性についてはよくわかったけれど、どうやってコンセプトを考えればよいのか? 

コンセプト思考に慣れるには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか? 

■コンセプト思考に慣れるための「逆算思考法」 
コンセプト思考に慣れるため、ぜひひとつ試してみていただきたいのが、「逆算思考法」です。De-Construction(デ・コンストラクション=脱構築)という用語を略して、“デコン”と呼ぶ人も広告業界にはいます。 

どういうことかと言うと、街で見かける、メディアで見かける、あらゆるビジネスや事象を、「これのコンセプトは何だろう?」と逆算して考えてみることです。新しいビジネスを起業している人を見かけたら、「そのビジネス計画のコンセプトはいったい何だろう?」と考えてみましょう。「海外で流行している」という新しいビジネスの記事を読んだときも、「そのビジネスのコンセプトはいったい何だろう?」と考えるクセをつけましょう。 

あるいは、ご自身がお住まいの街で人気の飲食店があったら、「この店のコンセプトはいったい何だろう?」と考えてみましょう。“高いけどうまい”なのか“とにかく安い”なのか“そこそこの味をリーズナブルに”なのか“リラックスできる雰囲気が売り”なのか、想定できるコンセプトを、一言または1~2行の文章で書き表してみましょう。 

このように、既存のものの「コンセプト」を練習として考えてみることで、ご自身が関わる案件についても、まずコンセプトを考える習慣ができていくはずです。このように少しずつ、ご自身のビジネスに関して、コンセプトから考えるようにしてみてはいかがでしょうか。 


■既成概念を壊すことにとらわれず、まずは大方針から 
コンセプトを考える上で一つ気をつけたいことが、“今までにないまったく新しいコンセプトでなければ!”と身構え過ぎないことです。 

世の中で大成功した事例を受けて、「コンセプトは既成概念を壊すものでなければならない」などともよく言われます。もちろんそれが理想ですが、既成概念を壊すコンセプトを考えて実行するのは、容易ではなく、誰もがいつでも実行できるわけではありません。 

そう大上段に構えずに、まずはとにかく“大方針を定める”ことから始めてみてはいかがでしょうか。自分の店やビジネスは何を売りにすればうまくいくのか、そのことを一生懸命に考えてみるのです。 


■コンセプトを実現する主要な施策について、考えを巡らせる 
さらにもう一つ、コンセプトを考えることはもちろん重要ですが、「そのコンセプトを実現するにはどうすればいいのか?」ということも、同様に重要です。コンセプトを実現するための“主要な施策”にアイディアがあり、うまく機能しなければ、コンセプトはただの“絵に描いた餅”になってしまいます。 

例えば、“安いけれども貧弱ではなく品ぞろえが豊富”な家具店として人気のニトリは、東南アジア等人件費の安い国々に工場を設けて、そのコンセプトを実現する生産体制を整えてきたと言います。同じく“リーズナブルな値段でお洒落な北欧風家具を提供する”家具店として人気のIKEA(イケア)は、組み立ては購入者自身が行うというシステムによって、リーズナブルな価格を実現しました。 

あなたも、ぜひ、あなた自身のビジネスの「コンセプト」と「そのコンセプトを実現する主要な施策」について、考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。 


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


●プロフィール● 
佐藤達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

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