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介護福祉士の受験者・合格者数が大幅減少! 介護事業における介護福祉士の役割と今後期待されることとは?

17.06.09 |

「介護福祉士」とは、介護業界では唯一の国家資格で、介護サービスの中心となる重要な資格です。

介護現場において「介護福祉士」は、他の職員と比べて、より高い専門的な技術力や能力を有する者として位置づけられており、より質の高い介護サービスを実現するために期待されています。

ただし、平成29年(第29回)の介護福祉士試験では受験者数が前年の15万2573人(第28回)から7万6323人へと約半数まで減少、合格者数は8万8300人から5万5031人へと急激に減少しています。

ただし、合格率は57.9%から72.1%へと増加しており、国家資格としては合格率の良い資格であると言えます。

では、なぜこんなに受験者数が減少したのか? その理由は国の施策にあります。

より実務経験を重要視した受験資格に改正されたことが大きく影響しています。

国としては、この資格を介護サービスの利用者の状態に応じた介護や他職種との連携を図るための、幅広い知識や技術の修得が求められている資格として位置付けているからです。 

介護福祉士の資格を取得するには、
①実務経験ルート
②福祉系高校ルート
③養成施設ルート
という3つのルートがありますが、平成29年からは実務経験ルートでは「最大450時間の実務者研修」+「実務経験3年以上」という条件が加わりました。

この実務重視の条件により、受講者が大幅に減少したと考えられます。

これだけハードルが高くなった「介護福祉士」ですが、現状の介護事業所での待遇を検証してみると、平均実賃金は236,596円で無資格者(196,432円)や介護職員初任者研修合格者(212,120円)より多く支払われていますが、10~20%程度の差しかなく、同じ福祉系の国家資格である社会福祉士などと比べても低水準にあることがわかります。

今後、介護福祉士の資格を生かしていくためには、資格者が現場での介護サービスの向上に努めていける組織づくりが重要になります。

具体的には、キャリアパスを設ける際に有資格者と無資格者を明確に区分した職業能力基準を作成し、給与体系に反映することや、介護福祉士としての仕事を明確化し、責任の重さに合わせた資格手当を支給することなどが考えられます。

介護業界の健全な発展には、業界全体の改革によって介護福祉士の地位を向上させ、より魅力のある資格に押し上げることが必要ではないでしょうか。


介護事業最前線

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