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医科歯科連携を円滑にするには?

17.09.08 |

患者が歯科診療所に訪れる外来診療が、歯科診療では主流です。
そのため、歯科通院中の患者が心筋梗塞などで病院に入院すると、歯科受診が途切れやすいという実態があります。

重度の歯周病患者は、糖尿病の重症化や心筋梗塞、慢性腎臓病などを併発しやすいことが明らかになっており、継続的な治療・管理が必要です。
医科疾患の発症で歯科通院がとぎれるのは、患者さんにとって大きなリスクといえるでしょう。

今回は医科歯科連携の取り組みについて取り上げていきます。

歯科と医科における連携の必要性は指摘されています。
しかしながら、時間的な制約がネックとなっているのか、歯科診療所の医師が病院を訪問して周術期管理を行うケースはそれほど多くはありません。

医科歯科連携の推進を図っていくために設けられた「周術期口腔機能管理計画策定料」「周術期口腔機能管理料」の多くは、歯科標榜の1割強にすぎない病院併設歯科で算定されている状況です。

すなわち、「歯科を併設していない病院では、歯科との連携があまり行われていない」ということになります。

現実的な話、個人診療所が病院と連携する仕組みをつくるのは困難でしょう。
この状況を改善するために、地域の歯科医師会単位で連携推進を図る取り組みが現在行われています。

ある県の歯科医師会では医療連携講習会を開催しています。病院での歯科併設の有無別に周術期管理のフローチャートを作成し、その啓発を図っているとのことです。
また、ある地区の歯科医師会では大学病院や市立病院との連携システムを構築し、以下3つのケアを実施しています。

①かかりつけ歯科医による入院前の口腔ケア
②病院訪問による入院中の口腔ケア
③退院後の口腔ケア

②はかかりつけ歯科医を持たない患者が多いため、病院側が患者の同意を得て医療知識を持つ歯科医を招聘し、院内で口腔ケアを行います。

このような連携が可能になった背景には、連携の仕組みや内容を説明する3つのリーフレットを作成したからです。
医療側と歯科側で共通的な指針を策定し、病院看護師と歯科医が同じパスを利用することで役割分担が明確になりました。
また、連携の窓口を、歯科医師会附属の歯科介護支援センターに一本化したことも、連携が円滑に行われるようになった要因といえます。

がん治療に伴う口腔有害事象は生命と直接かかわりがないため、あまり顧みられてきませんでした。
しかし、それらの有害事象が患者のQOL悪化を招く原因となっていることがわかってきています。
患者のQOLを高め、より良質な医療を提供していくうえで、歯科の役割は今後大きくなっていくと思われます。


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