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「論理的思考」は得意ですか? 苦手な方にも分かりやすく、そのコツをお話します。その4。

17.09.15 |

「論理的思考のためのやさしいコツ」のなかで、前回お伝えしたのは「とにかく分けて考える」でした。

今回はこのシリーズの最後として、「ていねいに順番を追って考え説明する」についてお伝していきます。

一足飛びで結論を話すのではなく、「ていねいに順番を追って考え説明する」ことは、論理的思考のなかでは基本中の基本です。

“三段論法”という有名な論理があります。

三段論法を説明するうえで、「ソクラテスはいずれ死ぬ」という文章を例に挙げましょう。
この文章を見て、「当たり前じゃないか」と感じるだけではいけません。
“三段”に分けて説明してください。

実際に分けてみると、以下の通りです。

第一段 すべての人間は死すべきものである
第二段 ソクラテスは人間である
第三段 ゆえにソクラテスは死すべきものである

「ソクラテスはいずれ死ぬ」根拠がわかりやすくなったと思います。

三段論法は初歩的な方法ですが、論理的な思考の“基礎”を成すものです。
三段論法を活用すれば、アイデアが生まれた“プロセス”をていねいに提示することができ、相手を納得させやすいからです。

では、「製薬会社の宣伝部長に風邪薬の広告を提案する」ことを事例に挙げて考えていきます。
広告代理店のクリエイティブチームは試行錯誤して、この製薬会社が独自で生み出した「ボンバリオン製法」を押し出すことに決めました。
この提案を聞いた宣伝部長は、「『ボンバリオン製法』なんて難しい言葉を消費者は好まないよ。もっとやさしく言い換えてくれ!」と言われました。

こんなときは、どのように“思考プロセス”を説明すればいいのでしょうか? 
以下が成功例のひとつとして考えられます。

「喉の痛みと咳に効く」という商品特性をそのまま伝えるテレビCMをまず考えた
「『喉の痛みと咳に効く』だけでは、競合商品との違いがわかりにくい」というアンケート結果が出た
より注目してもらえるように、人気タレントを起用して、「あの人が使っているのなら私も買いたい」という気持ちを持ってもらえる企画は考えた
しかし、タレント起用だけでは弱いので、いかにも効果がありそうな「ボンバリオン製法」をマジックワード(「よくわからないけど凄そうだ」と感じてもらえるワード)として押し出すことにした
聞いたことのない難しそうなワードの方が広告効果が高いこともある
今回のテレビCMでは、「ボンバリオン製法」をキーワードに展開していきたい

こうした「論理的」な説明をすることで、あなたのアイデアが実現する可能性はグッと高まると思います。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


●プロフィール● 
佐藤達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

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