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労働契約や残業代… 法規制に適切に対応していこう

17.09.15 |

政府が注力している「働き方改革」の影響で、時間外労働の上限規制といった労働環境の改善が急速に進んでいます。

従業員の権利意識が高まる中、雇用主としては適切な対処方法を心得ておかなければいけません。

今回は、「雇用契約関係を終了させたいとき」「残業代請求へ対応するとき」の2つを取り上げます。

従業員との雇用契約を終了させるには、適法な“退職勧奨”が必要

従業員との雇用契約関係を終了させる方法は以下の3つがあります。

①従業員の辞職
②従業員の合意退職
③解雇

「①従業員の辞職」が最も理想的ですが、従業員の意思で申し出てもらわなければならないため不確実です。
また「③解雇」は、有効と認められるためのハードルが高く、従業員から未払賃金や残業代などを請求される可能性もあります。
リスクが高い方法といえるでしょう。

以上のことから、3つの方法のうち「②従業員の合意退職」を目指すのが現実的ということになります。

合意退職を目指して、従業員に対して“退職勧奨”することを考える方もいらっしゃるでしょう。

退職勧奨とは、「人事権に基づき、雇用関係にある者に対し、自発的な退職意思の形成を慫慂(しょうよう:誘いかけ勧めること)するためになす説得等の行為であって…単なる事実行為である」(最判昭和55年7月10日:下関商業高校事件)とされています。

頻度や回数、勧奨する人数、環境、優遇措置の有無など、さまざまな要素を総合して見て、違法か否かが判断されます。

退職勧奨が適法・有効なものとなるよう、さまざまな要素を総合して専門的な判断をすることが、従業員との雇用契約関係を終了させるために必要不可欠です。


残業代請求には事前対策が必要

従業員が辞める場合に限らず、残業代を請求される可能性はあります。

裁判所の考え方は、従業員の労働時間管理義務を負っている使用者に厳しいものとなっています。
紛争になってから対処するのは困難ですので、事前に対策を講じておかなければいけません。

複数の対策方法が考えられますが、以下に代表的なものを挙げておきます。

・従業員の勤務時間中の私的活動の防止
・賃金体系の工夫
・時間管理・業務命令の工夫
・裁量労働制の導入 など

いずれの方法もメリットとデメリットがあり、「就業規則および雇用契約書の改定」や「各種協定の整備」をしなければならない可能性が高いです。この場合は専門的な知見が必要となるでしょう。

また近い将来、「時間外労働時間の上限規制」がほぼ確実となっています。

原則として、月45時間かつ年360時間(平均月30時間)が時間外労働時間の上限とされ、労使協定によっても月100時間かつ年720時間(平均月60時間)を超えることは許されなくなります。
これに反した場合の罰則も強化される予定です。

法規制は刻一刻と変化していくので、適切な対応をしなければいけません。
労働契約や残業代請求などでお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。



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