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感染症対策で患者さんやスタッフの信頼を得るには?

17.11.02 |

今問題になっている感染症問題
ハンドピースの使いまわしは、何割の歯科医院がやってしまっているのでしょうか? 
リスク管理と、患者さん・スタッフの信頼の観点で問題と対策を考えてみましょう。

今年に入って全国紙が歯科治療における感染問題を盛んに取り上げ、歯科医院の感染対策に厳しい目が注がれています。 

厚労省の調べでは、“ハンドピースを患者ごとに交換し滅菌している”歯科医院は約半数にとどまることが明らかとなりました。
事態を重く見た同省は9月、ハンドピースの使いまわしを改め、患者ごとの交換・滅菌を徹底させるよう都道府県等に通知を出しています。 

唾液や血液とかかわらざるを得ないのは歯を扱う歯科医院の宿命です。
ゆえに人から人へのウイルスの感染を防ぐために、患者ごとに手袋やマスクを変えたり、ハンドピースの交換・滅菌をしたり、といった感染対策は必須といえます。 

実際、日本歯科医学会の指針でも、患者ごとに機器を交換し、高温の蒸気発生装置で滅菌することが定められています。
なのになぜ、歯科医院の半数で患者ごとにハンドピースの交換が行われていないのでしょうか。 

最大の原因はやはり感染対策にかかるコストがかさんでしまうからでしょう。
特にハンドピースは1本あたりの単価が高額であることに加え、患者ごとに交換するとなると多数揃える必要があり、そのうえ高熱で滅菌を繰り返すことによってハンドピースの寿命が短くなると指摘する声もあります。 

このため日本歯科医師会は、来年の診療報酬で歯科医院の院内感染対策の費用をまかなう基本診療料の充実を求めていく考えですが、現在でも約半数の歯科医院は指針に沿って患者ごとの交換・滅菌をしっかりと行っています。 

費用を補てんする点数がつくまでやらない、という姿勢はいかがなものでしょうか。
ましてや歯科治療を通じて患者からC型肝炎ウイルスやHIVに感染したなどの風評が立てば、その歯科医院が受けるダメージは計り知れません。
感染対策はリスクマネジメントのための先行投資と捉えて万全を期していくことが求められると思います。 

ある歯科医院では、診療を開始するにあたり患者に見えるように滅菌パックから滅菌済みのハンドピースを取り出したり、手袋やマスクを交換するようにしています。
オーバージェスチャーにも映りますが、「きちんと交換しています」ということを患者にアピールし、安心してもらうための“儀式”なのだそうです。 
また、院内感染対策は患者から患者への感染だけではありません。
歯科医自身や歯科衛生士などスタッフも危険にさらされています。
このためゴーグルやガウンなどの防護用具の着用はもちろんですが、院外の感染対策研修をスタッフに定期的に受講させる歯科医院も増えているようです。 

感染対策はどこまで徹底しても危険性はゼロにはなりませんが、こうした目に見える取り組みを増やしていくことで、患者さんやスタッフの信頼を勝ち取ることができるのではないでしょうか。 



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