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介護業界の“労働生産性”は低いのか!?

17.11.02 |

事業を経営していくうえで、どれだけ利益が残るのかは、とても大切な問題ですよね。

今回は、利益を残すために役立つ指標である”労働生産性”について、介護業界の現状と、改善の施策をお伝えします。

労働生産性とは?

労働生産性”という言葉を耳にしたことはありますか?

労働生産性とは、“労働者がどれだけ効率的に成果(付加価値)を生み出したかを定量的に数値化したもの”で、以下の式で表されます。 

労働生産性=付加価値または生産量÷従業員数または(労働者数×労働時間)

この式では、“労働者1人あたりが生み出す成果あるいは労働者が1時間あたりに生み出す成果を数値化したもの”が表されています。 

また、この式で言う“付加価値”とは、“総生産額から原材料費や燃料費、減価償却費、外注費などを差し引いた額”を表す用語で、企業の利益と密接な関係があります。 

労働生産性の向上は、経済成長や企業の利益拡大につながる要因とされていますが、それだけではなく従業員の賃金にも大きく関係すると考えられているため、政府の掲げる『働き方改革』では長時間労働の抑制とともに、この労働生産性の向上が求められています。


介護業界の労働生産性 

介護業界は、飲食業・美容サービス業・運送業等と並び、人件費の比率が特に高い産業に分類されます。 

介護業界の一般的な人件費率を見ると、特養やグループホームなどの施設介護で60%、デイサービスなどの通所介護で70%、訪問介護では80%以上と言われています。
この数字からも介護は労働力によって支えられている事業だと確認出来ると同時に、付加価値が低い介護事業所は、すぐに経営難に直結してしまうことを顕著に示しています。 

では、実際の数値がどのようになっているか確認してみましょう。

近年の日本における労働生産性の数値は、1人あたり783万円(公益財団法人日本生産性本部調べ)となっていますが、介護福祉業界は400万程度とされており、他の産業と比較して非常に低い水準であることがわかります。
しかし、そもそも介護業界は基本的な構造が収益を生む事業ではなく、一概に『労働生産性が低い=付加価値の低い事業』とは言えないでしょう。 


生産性を向上させるには? 

とは言え、介護事業所も付加価値を向上させる努力は必要です。
業務フローや業務マニュアルの見直し、ペーパーレスなどの身近な経費削減等、業務効率を改善していくための対策を試みることが大切です。
他にも、現場では介護ロボット等の新しい技術の活用も考えられますが、現状ではコストが非常に高いため、思うように活用出来ない事業所が大半を占めていると思われます。 

今後、介護事業において労働生産性や付加価値を高めるためには、身近なところからの経費削減やサービス向上の意識を持つことが必要です。
また、併せてAI(人工知能)の発達と技術進展を踏まえた、国からの設備補助を含めた介護業界全体の業務の見直しが必要ではないでしょうか。 



介護事業最前線

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