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2018年の介護報酬改定の結果は? 賃上げ実現は?

18.01.05 |

2017年12月14日、朝日新聞デジタルより、政府与党が来年度の介護報酬改定の引き上げ幅について0.5%台前半で調整に入ったことが報じられました。 

介護報酬は、介護保険サービスの公定価格で3年に1度見直されます。 
前回の2015年度は9年ぶりのマイナス改定で2.27%引き下げとなりました。
その結果、2016年度の介護事業者の利益率は3.3%となり、2014年3月と比較し4.5ポイントも下がってしまったのです。 

では、介護報酬の引き上げにより、業界で最も深刻な“人材不足”の問題は解決できるのでしょうか?

介護報酬の影響範囲 

介護報酬を引き上げるメリットとして、事業者の収入が増え、介護職員の待遇改善につながる可能性があります。 
実際に6年前と9年前の改定では介護報酬の引き上げにより、介護職員の賃金UPの効果を得ることができました。
今回もこういった効果はあるでしょう。 

一方、デメリットとしては、税金や利用者の自己負担、40歳以上が支払う保険料の国民負担が増すことです。
今回の0.5%の引き上げだと、国費は約135億円増える計算となります。 


介護報酬の増額だけで、介護職員不足は解決できるのか? 

国費への負担というデメリットを考えない場合、介護報酬の増額があれば介護職員不足を解決できるのでしょうか? 

・『2017年の介護報酬の臨時改定(1.14%の引き上げ)』 
・『2018年の介護報酬引き上げ決定』 

このほか、2017年12月8日に実施された自民・政調全体会議によって発表された政策パッケージにおいて、消費税10%への引き上げで発生する増収分を使い、『介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について、公費1000億円程度を投じ、月額平均8万円相当の処遇改善を行う』ことが決定しました。 

これだけ引き上げがあるにもかかわらず、職員不足に悩む施設は増え続けています。 
それには、いくつか理由があるようです。 


人材不足が続く4つの理由 

①悪いイメージが浸透した 
給与改善がされても、他業界と比較した際の賃金が平均月10万円程度安いといわれています。 
こういった事実から、介護業界に対して“採用率が低い”、“離職率が高い”、“仕事がきつくて給与が少ない”といったイメージが生まれてしまい、求職者が減っているようです。 

②資格取得者の減少 
介護福祉士の有無にかかわらず、介護職に就くことはできます。 
そのため、研修費用の負担を避けようと資格を取得している人は多くありません。 
介護福祉士を受験した人は2015年度には16万919人いたものの、翌年の2016年では7万9,913人とたった1年で半減しているのです。 
また、資格取得後に介護業界を選ばない人も増えているようです。 

③手当対象が限定される 
厚生労働省の調べによると、介護福祉士の平均勤続年数は6年で、勤続10年の介護福祉士は少ないそうです。 
そのため、人材流出防止となる、今回の政策パッケージの恩恵を受ける方も少ないようです。 

④賃上げが事業所に委ねられている 
介護職員の賃金は、サービスを提供して受け取る介護報酬の中から支払われています。 
政策パッケージでは、国から支給されたお金が一旦介護事業所に入り、事業所の判断で各介護福祉士に配分されます。 
そのため、賃上げがどれだけ実施されるかは事業所によって変わってしまいます。 


まとめ 

2018年の実施も含め、報酬の改定・賃上げの施策は続いています。 
しかし、それが人材不足の解消にすぐに繋がる可能性は低く、各事業所においては、引き続き個別の施策によってワークライフバランスの実施や職場環境の改善をしていく必要があるでしょう。 



介護事業最前線

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