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2018年度診療報酬プラス改定の恩恵とは③ ―在宅医療の新規参入に期待―

18.04.03 |

2018年度の診療報酬改定にて、評価が大幅に見直された“在宅医療”。 
病院での治療から、在宅治療へ』という施策は、今や国の医療政策の基本指針の一つとされています。 

ただし、その具体的な内容は少しずつ変容してきています。
では、どのように変わってきているのでしょうか?

在宅療養支援診療所の 
促進を目指すも…… 

当初、厚生労働省が目指していたのは、在宅医療を専門に行う『在宅療養支援診療所』の促進でした。 

在宅療養支援診療所とは、以下の要件などを満たした診療所のことをいいます。 

・患者を直接担当する医師または看護師が、患者やその家族と24時間連絡を取れる体制を維持すること 
・患者の求めに応じて、24時間往診の可能な体制を維持すること 
・緊急時は、連携する保険医療機関において、検査・入院時のベッドを確保し、円滑な情報提供がなされること 
・地域の介護・福祉サービス事業所と連携していること    

2006年度の診療報酬改定では、このような在宅療養支援診療所の診療報酬点数を、高く評価することが盛り込まれました。 

ところが、2015年時点での在宅療養支援診療所の届出数は1万4,262件と、その数は決して充足しているとはいえません(『平成26年度検証部会調査』保険局医療課調べ・平成27年7月1日時点)。 

そこで厚生労働省は、在宅療養支援診療所だけに在宅医療を任せるのではなく、外来中心の診療所も在宅医療に取り組めるよう、体制を整えることに着手。 
日常的な訪問診療に対応する診療所を、診療報酬点数で評価しようという動きに移行してきました。 


外来と並行して 
訪問診療も行う診療所を評価 

2018年度診療報酬改定では、 “地域包括診療料”について、『外来医療中心の医療機関において、外来診療から訪問診療に移行した患者に在宅医療を提供する実績を有する医療機関の評価を充実する』とされています。 

具体的には、『地域包括診療料1』について以下の事項などを要件として設け、在宅専門の診療所でなくても算定できる仕組みを構築しました。 

・訪問診療を提供した患者のうち、当該医療機関での外来診療を経て訪問診療に移行した患者数が10人以上であること 
・直近1ヶ月に初診、再診、往診又は訪問診療を実施した患者のうち、往診又は訪問診療を実施した患者の割合が70%未満であること  

また、在宅療養支援診療所以外の診療所が、他の医療機関と連携することにより“24時間の往診&連絡体制”を構築した場合に加算される『継続診療加算』も新設。
これにより、在宅医療における“24時間の診療体制”の負担軽減が期待されています。 

また、医師会の生涯学習のプログラムにも、在宅医療の新規参入を後押しする動きが見られます。 

東京都医師会では、訪問診療未経験の医師を対象に『東京在宅医療塾』を開講。
在宅医療に必要な知識や技術を学べると人気を博しています。 
なお、この講座は講義だけでなく、医療トレーニングシミュレータを使用して手技を学ぶこともできるのです。 

今後、高齢化が進んでいく中で、在宅治療や訪問治療の需要はますます増加してくるでしょう。 
2018年度診療報酬改定をきっかけに、在宅医療や訪問治療の新規参入を検討してみてはいかがでしょうか。 



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