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サッカー日本代表の新監督が考える“組織再生論”とは?

18.04.24 |

今年6月に開幕するサッカーワールドカップ・ロシア大会に出場する日本代表が、4月に監督交代に踏み切った。 

“W杯開幕まで2カ月”という異例の段階での監督交代。
果たして、新監督はどのようにチームを立て直すのだろうか?

監督と選手の思いが重ならず 
チーム運営が困難に? 

監督変更の理由について、日本サッカー協会の田嶋幸三(たしま こうぞう)会長は「選手とのコミュニケーションと信頼関係が薄れていた」と話した。 

昨年8月にW杯出場を決めてからというもの、日本はW杯を想定した相手とのテストマッチで結果を残すことができずにいた。 
それでもヴァイッド・ハリルホジッチ前監督はプレー方針などを変えることはなかったが、選手たちは不安を募らせていった。 

また、選手のミスに対し、あからさまに不満げなジェスチャーをしたり、敗北した試合後の会見で選手のプレーを批判するなどの一面も垣間見れた。 

その結果、監督と選手の思いが重なり合わなくなっていたのかもしれない。 

そして、“このままでは選手たちの良さを活かしたサッカーができない”と判断したサッカー協会が、“W杯開幕まで2カ月”という段階での監督交代に踏み切ったのだ。 


勝利する最善策を考え 
選手の力を引き出す 

サッカーのプレー方針は、大まかに2種類ある。 
一つは『一人ひとりの力を最大限に生かす方法』。
そしてもう一つは『組織として戦っていく方法』である。 

前監督が選んだのは前者で、個人が頑張ることを大前提とした。
しかし、世界的に見て身体のサイズに恵まれていない日本人選手が、個人で頑張ることには限度がある。 
そのため、西野朗(にしの あきら)新監督は「規律や組織をもとに結束して戦える強さがある。グループでのパフォーマンスが日本の良さ」と説明し、組織として戦っていくことを決めた。 

そのうえで「所属クラブで見せている力を、選手たちがストレートに出せる状況を作りたい」とも付け加えた。 

強豪がひしめき合うなかで、日本が結果を出すことは簡単なことではないだろう。 
しかし西野監督は「選手がパフォーマンスをしっかり出せる環境を作れば、勝てる確率は上がる」と言う。 

一人ひとりの個性を余すところなく引き出しつつ、規律ある組織を構築する』。
それこそが、新監督が描く組織再生のシナリオだ。 

会社組織においても、従業員の思いを無視したマネジメントは、組織運営に支障をきたすことになるだろう。 
部下のポテンシャルを最大限引き出し業務に活かすためには、“部下を管理する立場の人間が、どれだけ部下を理解することができるか”がカギになってくるのではないだろうか。



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●プロフィール● 
戸塚 啓(とつか・けい) 
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。

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