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強みや弱みを分析する“SWOT(スウォット)分析”とは? ④

18.05.30 |

全4回にわたり連載している“SWOT分析”。
これまでの3回では、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素を把握し、戦略を立てる方法をお伝えしてきました。

ラストとなる今回は、自身の強み(S)や弱み(W)を、世の中の動きである機会(O)・脅威(T)と組み合わせ、可能性や打開策を探る方法をご紹介します。

強み(S)や弱み(W)を
活用&補強するには……

自分の持つ強み(S)と弱み(W)(=内部環境)は、世の中の動向やニーズ(外部環境)に強く影響を受けます。

たとえば、“ベトナム語を話せる”という強み(S)を持っているとします。
ベトナムに進出する日本企業が多ければ、そのスキルを活かせるチャンスは広がるでしょう。
しかし、仮にベトナムに進出する日本企業が少なければ、スキルを活かすチャンスは格段に少なくなります。

このように、機会(O)を活かすために、自分の強み(S)をどう活用するのか。
また、脅威(T)を回避するために、自分の弱み(W)をどう補強するか。

そう考えることから、ビジネスの新しい可能性や、そこに向けての努力の方向性を模索していくことができるのです。


強み(S)×機会(O)で
可能性の追求を!

ではまず、強み(S)と機会(O)を掛け合わせて成果の可能性を追求する方法をご説明します。

具体的に考えるために、私が大学教授を目指していた頃、実際に行っていたSWOT分析をご紹介します。

まず私は、大学教授を目指すにあたり、

◆強み(S)
・論理的思考とクリエイティブ思考が同時にできる

◆機会(O)
・大学教員として“実務を経験した研究者”のニーズが存在する

をかけ合わせることで、大学教授への道が開けると考えました。
そして、

◆強み(S)
・海外の広告事情に詳しい
・英語が使える

◆機会(O)
・広くグローバル化が叫ばれており、今後さらに海外進出する日本企業が増えると考えられる

これらをかけ合わせることで、『企業に向けて行う、海外の広告トレンド講演』という仕事の可能性を見出したのです。

ではさらに、“街のレストラン経営”を例に、企業としての“強み(S)×機会(O)”を考えてみましょう。

たとえば、『有名ホテルでシェフを経験した料理人がいる』という強み(S)があるとします。
しかし、その強み(S)は『街のレストランにも本格派の味を求める人が増えている』という機会(O)があるときに初めて、有効に機能するでしょう。

このように、強み(S)は機会(O)と組み合わせることで、初めて“成果へ結びつく可能性を見出せるのです。
 

弱み(W)×脅威(T)
で打開策を探る!

次に、弱み(W)と脅威(T)を掛け合わせて、努力の方向性を探っていきましょう。

上記同様、私が大学教授を目指していた頃に行っていた例を挙げると、

◆弱み(W)
・アカデミックな研究者としては、論文の素養がない

◆脅威(T)
・大学教員の採用に当たり、“学術論文の数”が厳しく問われる傾向にある

これらを掛け合わせ、私は『学術論文の書き方の勉強に時間とエネルギーを投じる必要がある』という努力の方向性を見出しました。

では次に、“街のレストラン経営”について考えてみます。
たとえば、

◆弱み(W)
・味は良いが内装の雰囲気がごく普通だ

◆脅威(T)
・味だけでなく店内の雰囲気を重視する人が増えている

という弱み(W)と脅威(T)がある店であれば、これらを掛け合わせ『店内を改装して独自の雰囲気を作り出す』といった努力や投資の方向性が見えてくるでしょう。

これで“SWOT分析”についての連載は最後です。
ぜひ、自社や自身の分析に活かしてみてください。



佐藤達郎のマーケティング論

●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。
著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。

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