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自然災害の緊急時対応マニュアルをつくろう!

18.09.06 |

自然災害は、地域住民の方々はもちろん、介護事業所のスタッフや利用者の生活にも大きな支障をきたします。
過去のさまざまな自然災害から浮き彫りになった多くの課題を教訓として、万が一のときにも落ち着いて行動できるマニュアルを用意しておきたいものです。 
今回は、緊急時対応マニュアル作成のコツをご紹介します。

いざというとき冷静に対応するには?

2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震、また近年各地で発生している豪雨などでは、多くの介護事業所も被害を受けました。
発生直後の設備の損壊、スタッフの被災などにより、利用者の救助に遅れが出てしまった事業所もあります。
また、その後に起こった電気・水道・ガスなどのライフラインや通信環境の停止、物資不足の長期化で、平常時の介護サービスが提供できなくなり、利用者の生活機能低下などの二次被害が生じてしまうといった、深刻なケースも起こっています。

自然災害発生時には、自身の安全確保が先決ですが、同時に利用者の安全を確保することも、介護スタッフにとって重要な職務です。
自力で避難することが困難な利用者には避難の援助が必要になるため、迅速かつ適切な行動が求められます。
また、ライフラインや通信が滞った場合、可能な限り利用者個々のニーズに対応したサービスを行い、生活機能の維持を支援していく体制の構築も必要となります。

災害発生直後の初動や連絡体制、二次被害の防止などについて検討したマニュアルが事前に準備されていれば、適切な対応を取ることができます。


共有・活用を経て、より実践的なマニュアルへ

緊急時対応マニュアルを検討する際の具体例としては、下記のようなことが考えられます。

・利用者やスタッフなどの連絡方法、連絡手段、優先順位
・スタッフの役割分担、緊急時の招集方法、通信機器が使用できない際の連絡手段
・避難する場合の避難場所や誘導方法などの避難計画、指揮命令の体制
・自力避難が困難な利用者の支援体制
・出社、帰宅困難者の対応方法、自宅待機の基準
・備蓄物の管理(水・食料・医薬品・衛生材料・移送具・照明・通信機器・備品など)
・自分自身を守るための手段や方法
・防災訓練、避難訓練などの実施や方法
・マニュアルの追加・修正・見直し など

マニュアルを作成したら、その内容に基づいてスタッフが冷静に行動できるように、ライフラインの途絶や災害の起きる時間帯(送迎時、訪問時、夜間、休日)といったさまざまな状況を想定し、連絡、消火、救助、避難などの防災訓練を行うことも必要です。
訓練を通じてマニュアルがより実践的なものとなるよう、適宜内容を見直していくことにもつながります。

自然災害時に被災した介護事業所とその利用者家族との間で起きた裁判では、近年、施設側の安全管理体制や対応方法などが問われるケースが増えています。
今後は「自然災害は想定できないから、対処が遅れても仕方がない」といった考え方や言い訳は通用しなくなっていくでしょう。
緊急時対応マニュアルの作成・共有・活用、また避難訓練などを重ねて、日頃から防災に関する意識を高め、スタッフ間でも必要なアイデアを提案し合ってみてはいかがでしょうか。



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