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消費者にお買い得だと思わせる『アンカリング効果』とは?

18.09.11 |

マーケティングの世界では、さまざまな心理効果が使われており、その中でも有名なのが、『アンカリング効果』と呼ばれるものです。
これは、最初に見た数字などの情報が強く印象に残り、その後の意思決定や判断に影響を与えるという、認知バイアスのこと。
マーケティングでは、価格やキャッチコピーなど、インパクトのある特定の情報を最初に提示することによって、購買の判断に影響を与えることができるといわれています。
今回は、具体的な例を紹介しながら、アンカリング効果の活用法を探っていきます。

アンカリング効果は身近なところで使われていた!

アンカリングの“アンカー”とは、“碇(いかり)”のこと。船が海底に碇を下ろして、一定の場所にとどまるように、人の心に情報という名の碇を下ろして、その意識からブレにくくする作用のことを指します。

たとえば商品を売るとき。単純に「19,800円」と値段を表示するよりも、「特別価格19,800円」や「29,800円が今だけ19,800円」とすることでお客さんにアンカリング効果が働き、「これはお買い得だ」と思わせることができます。

したがって、初めて提示されたものでなければアンカリング効果は働きません。
先ほどの例でいえば、お客さんが、来店前にネットなどでその商品の適切な市場価格を把握していれば、“特別価格”や“今だけ”と書かれていても、購買に影響を与えることはないはずです。
購買意欲を高めるアンカリング効果には、“先着限定”や“期間限定”も多く使われています。

上記の例は、商品の価値に直接紐づいていましたが、商品を購入することで得られる付加価値でもアンカリング効果は狙えます。
ポイント何倍”や、“送料無料”などがそうです。
「ポイントがもらえるなら買ってもいいかも」「送料無料なら買っておかなきゃ」と思わせる手法です。


アンカリング効果を使う際に注意しておきたいこと

アンカリング効果をマーケティングに利用するには、いくつかの注意点があります。
前述したように、「29,800円が今だけ19,800円」という謳い文句を打ち出す場合、実際に29,800円のものを19,800円に値引きしている場合は問題ありませんが、当初から19,800円だったものを「もともと29,800円だった」と偽って販売するのは“二重価格表示”となり、景品表示法に違反します。

キャッチコピーを表記する際は、元値や事実を確認し、虚偽のないようにしましょう。


デキる営業マンはアンカリング効果を使っている?

アンカリング効果は、よい印象を与える営業方法としても使うことができます。
たとえば、取引先に提出する企画書を「1週間後にお送りします」と約束して、実際は3日後に送ったとします。
すると取引先からは、「なんて仕事の早い人なんだ」という評価を得ることができます。
取引先はいつの間にか、「企画書は1週間かかる」という情報に対して、「そのくらいかかるであろう」という共通認識が、提案を受けた時点から植えつけられているからです。

市場を活性化させるための戦略として、受け手の心理を上手に利用するアンカリング効果ですが、つい高い効果を得ようとエスカレートしてしまうケースも。
使う側として、常識の範囲を超えないように意識しておきましょう。

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