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大型台風の影響を考えて施設を一時閉鎖した場合、従業員への休業補償は必要?

18.10.04 |

各地に甚大な被害をもたらした台風21号。
“25年ぶりの大型台風”として直撃が予測されたため、デイサービスや訪問介護事業所をはじめ、企業や店舗、交通機関でも安全面を考えて臨時休業の対応が多く見られました。 
このような台風などの自然災害による休業時、従業員の給与支払いは必要でしょうか? 
自然災害に備えた休業時の賃金支払いについて、知っておきましょう。

休業手当は平均賃金の100分の60以上
災害時にも適用される?

休業手当に関しては『労働基準法第26条』の条文に基づいて休業時の賃金支払いの必要性について検討する必要があります。
労働基準法第26条の条文には『使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。』と記されています。
この条文では休業手当の支払いは“使用者の責に帰すべき事由による休業の場合”とされていますので、台風や豪雨などによる自然災害が使用者の責に帰すべき事由に該当するかどうかがポイントとなります。
行政から発令された通達では、『天災事変等の不可抗力の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払い義務はない』とされています。
当然、台風や土砂災害の恐れがあるような豪雨などは天災事変に該当しますので、これらの影響により休業を余儀なくされた場合は休業手当を支払わなくても法的には問題がないということになります。


自然災害と認められない早めの対応には
支払い義務がある場合も

今回の台風21号のように、通過後も各地で電柱の倒壊や電線の切断のために、しばらくの期間停電となった場合や、浸水により施設が水浸しになった場合なども、物理的に業務再開が不可能となります。
このような状況も不可抗力に該当し、事業主の責任には当たりませんので、休業手当の支払い義務は発生しません。
ただし、警報や避難勧告も発令されないようなはっきりしない天候の場合、“念のために”事業主の判断で休業させたというケースは自然災害として認められず、休業手当の支払い義務が発生することがあります。
多くの利用者が高齢であることを考慮したり、遠方から通勤するスタッフに対し、早めの対応を迫られることもあるかと思います。
どのような場合でも休業手当の支払い義務がないというわけではなく、状況に応じて考える必要があることに注意しなければなりません。
今回のような大規模な自然災害の場合は、利用者だけでなくスタッフの方が混乱してしまう可能性がありますので、休業や自宅待機などの判断基準や連絡体制、指揮系統などについて『緊急時対応マニュアル』を整備すると共に、休業手当の支払い条件についてもあらかじめ取り決めておくことをおすすめします。



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