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コンプライアンス違反防止策とは?

18.10.29 |

東京商工リサーチが2018年4月に公開した『2017年度「コンプライアンス違反」倒産』によると、2017年度に業法・法令違反、脱税、粉飾決算などの『コンプライアンス違反』が一因になった企業の倒産は195件で、3年ぶりに前年度を上回りました。
最近では、直接的な法令違反だけでなく、社会的な不適切行為によって、消費者や取引先などの信頼を失い、業績悪化や事業継続が困難な状態に陥るケースも少なくありません。
リスク管理という観点から、経営の最重要課題として認識されつつあるコンプライアンスの基本と、コンプライアンスを徹底させるための方策をご紹介します。

コンプライアンス違反があった場合の行政の対応および法的責任

コンプライアンスとは、企業が法律や条例、各種規制や内規などの基本ルールに従って活動することを意味します。
近年では“社会的信用を守る”という観点から、法令の遵守を基本として、企業および従業員が適切な行動をとるための行為規範、倫理規範へと範囲を広げた取り組みが求められています。
企業としてコンプライアンス違反を避けるには、従業員の行う日常的な業務から経営者の行う経営判断まで広範囲に注意を向ける必要があります。
では、代表的なコンプライアンス違反のリスクと法的な責任をみていきましょう。

情報の管理
個人情報保護法に違反すると、刑事罰が科される可能性があります。
そして、従業員等が、個人情報の漏洩によって自らの勤めている会社に損害を与えた場合には、民事上の責任を問われることもあり、情報漏洩過程の検証や情報管理システムの改善のみならず顧客対応やマスコミ対応などを行う必要性も生じ、多大なコストが生じる可能性もあります。
社内では、企業イメージが低下し、社員の士気が下がることによる業務への悪影響も想定されます。

公正な会計
企業の業績を人為的に操作する“粉飾決算”を行った場合、特別背任罪、金融商品取引法違反などの刑事責任だけでなく、会社や第三者から損害賠償責任を問われる可能性もあります。
企業が経営破たんに追い込まれることも少なくありません。

適正な労働環境
使用者が労働基準法に違反すると、刑事罰が科される可能性があります。
また、長時間労働などによって従業員が心身に不調をきたしたりすると、使用者が民事上の責任を問われることもあります。
最近では、ハラスメントによるコンプライアンス違反事例が多く、企業イメージの失墜や労使間の信頼関係が崩壊したことで、業績悪化につながったケースもあります。


社会的制裁も大きい! コンプライアンス違反倒産

下記は、2017年度に実際に起きた、コンプライアンス違反における会社倒産です。

・部品メーカー
主力商品の欠陥リコールにより、最終的な負債が1兆円を超える見通しとなり、製造業では戦後最大の倒産に発展。

・医療機器製造販売会社
不適切な勧誘が発覚し、たび重なる行政指導、行政処分を受けるが、最終的には手形の不渡りによる取引銀行からの取引停止処分を受けて倒産。

・学校法人
小学校開校を巡って建設費を水増しした契約書を行政に提出。国の補助金を不正受給した容疑で前理事長が逮捕。

・エステ運営会社
脱毛サービスや支払方法などを誤認させる広告、解約金の不当な遅延、不払いなどで、消費者庁から新規勧誘など一部業務の停止命令を受け、以後破産。


コンプライアンス委員会を設置し、従業員の意識改革を

コンプライアンスを強化するために必要なのは、組織体制づくりです。
コンプライアンスは経営に直結するため、取締役会の直下にコンプライアンス専任部署を配置し、強い権限を持たせることが重要となります。
多くの企業では『コンプライアンス委員会』を立ち上げ、全体の方向性を決めた上で、その下部組織の『コンプライアンス推進室』が実際の作業を行っているようです。

そして組織体制づくりと同時に、運用の目的や行為規範、違反行為への対応、管理体制などを定めた『コンプライアンスマニュアル』を作成します。
マニュアルの内容を社内に周知するとともに、外部のサービスを利用したり、専門家を招いて研修を行ったりして、経営層、管理職、一般職など、それぞれ従業員の意識を高めていきましょう。
そしてコンプライアンス推進室は、マニュアルが忠実に実行され、期待した結果を得られているかを定期的にモニタリングし、評価した結果を分析。今後の継続・改善へとつなげていきましょう。

コンプライアンスは、企業の存亡にかかわる重要な課題です。
企業価値向上に関わるので、経営戦略の一環として、しっかりと取り組んでいきたいものです。

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