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経営事項審査の『Y点』を上げるための対策法とは?

19.04.02 |

公共工事に入札する建設業者にとって重要な『経営事項審査(経審)』。 
建設業者の総合的な実力が数値化されるため、公共工事だけではなく、建設業者を探している人が参考にすることも多いデータです。 

経審は、業種別の完成工事高、自己資本額及び平均利益額など、5つの要素からなっています。 
そしてそれぞれ独自の計算方法で数字を算出していきます。 
今回は、経審のなかでも経営状況に関する『経営状況分析評点(Y点)』を上げるための対策法をご紹介します。

Y点を審査する仕組みとは?

経審には5つの審査評点がありますが、そのなかで経営状況に関する評点が『経営状況分析評点』、いわゆる『Y点』と呼ばれるものです。
Y点の審査には『負債抵抗力』『収益性・効率性』『財務健全性』『絶対的力量』という4つの要素が考慮され、これらはさらに8つの指標に分かれています。

8つの指標はそれぞれ評点への寄与度が異なっているため、Y点を上げるためにはしっかりと戦略を練り、寄与度が高いものを重点的に対処することが重要です。

具体的にどういった対処をすればよいのか、寄与度が高いものをピックアップしてご紹介します。


対策その1 支払利息を減らす

負債抵抗力の『純支払利息比率(X1)』は、Y点の寄与度の比率として29.9%を占めています。
支払利息を減らすことは、Y点を上げるためには重要です。
対策としては、以下の方法が考えられます。

(1)支払利息を見直す
支払利息に含めてしまいやすいものとして、手形の割引料があります。
建設業では決済方法として手形が使われることが多いものですが、手形の割引料は支払利息ではなく『手形売却損』などの勘定に振り替えましょう。
(2)受取利息を増やす
X1の算出方法としては【(支払利息―受取利息配当金)÷売上高×100】となっているため、受取利息を増やすことも有効です。
受取利息に含まれるものが雑収入で処理されていないか、確認しておきましょう。


対策その2 資本と売上総利益の比率を上げる

Y点への寄与度として次に高い比率を占めるのが、収益性・効率性のなかの『総資本売上総利益率(X3)』です。
これは全体の21.4%の割合を占めています。
X3の対策としては、以下の方法が考えられます。

(1)適正な利益が見込める工事を受注する
売上総利益は、【売上高―売上原価】で算出されます。
完成工事高から完成工事原価を差し引いたものということですが、X3を上げるためには、工事原価の高い工事を受注しないということも重要なポイントです。

建設業においては工期が複数年に渡るものも多いため、最終的に工事原価がどれくらいになるのかは、なかなか途中では見えにくいもの。
しかし、健全な経営を維持するためにも、受注の段階で、ある程度工事原価を把握し、適正な利益が確保できるかどうかを見極めておくことは重要です。

(2)社長借入金を資本に振り替える
社長が会社に資金を貸し出している場合は、会社の資本にすることによって資本を増やすことが可能になります。


対策その3 負債を減らす

負債抵抗力に含まれる『負債回転期間(X2)』のY点への寄与度は11.4%となっています。
負債を減らすことも、Y点を上げるためには重要なポイントといえるでしょう。
負債を減らすためには、未払い金や未完成工事受入金の額を減らすなどの対策が必要となりますが、そのほかにも見直しておきたいポイントをご紹介します。

(1)固定資産管理台帳を整備する
固定資産は会計ソフトに一度設定してしまえば、あとは半自動で処理が行われます。
そのため、すでに償却が終わった固定資産が整理されずにそのまま残っていることも少なくありません。
固定資産管理台帳を見直して、台帳を現状に合わせて整備しましょう。

(2)社長借入金を減らす
社長が会社に資金を貸し出しているケースは少なくありません。
この場合は役員借入金勘定などを使うことになります。
社長借入金が短期借入金などの流動負債になってしまうと、Y点の評価が下がります。


実は抜本的な対策を取らなくても、勘定科目を見直すだけで効果が期待できるケースもあるのです。
Y点を上げるために、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。

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