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同僚の携帯電話番号を取引先の人に教えるのは、あり?なし?

19.05.07 |

電話応対はビジネスパーソンとして欠かせないスキルの一つです。
ただし大事なのは、言葉遣いなどのマナーだけではありません。 
たとえば、同僚や会社の情報を取引先にうっかり漏らしたことで、会社全体の社会的信頼が失われてしまうこともあるため、発言内容にも注意が必要です。 
そこで今回は、情報保護など法的な観点からの、ビジネス上の電話応対の基本をご紹介します。 
普段から情報保護に関する意識を高く持ち、電話応対の際にも情報漏洩を防ぐよう心がけていれば、取引先からの印象もぐんと高まるでしょう。

携帯電話番号を尋ねられたら? 

電話応対で担当者が不在の場合に、相手から「担当者の携帯電話番号を教えてください」と言われても、社外の人に教えるのはNGです。
携帯電話番号は個人情報として法的保護の対象となっており、当人の許可なくこれを開示することは、プライバシー侵害にあたる可能性があります。

席を外している担当者の携帯電話番号を聞かれた時の正しい対応は、「すぐにこちらから連絡を取り、○○様へ折り返しご連絡するように申し伝えます」と言い、相手の社名と名前、連絡先の電話番号を確認しておくことです。

また、担当者が不在の場合には、携帯電話番号だけでなく、具体的な行き先を相手に教えることも避けましょう。
行き先を教えると、そこから営業情報や業務内容などが類推できてしまうおそれがあるためです。 
「申し訳ございませんが、○○は席を外しております」 「申し訳ありませんが、○○は外出しております」 程度の応対にとどめておき、そのうえで、折り返しの連絡や伝言の要否を確認します。 

では、もし相手が「どうしても携帯電話番号を教えてほしい」と言ってきたら、どう対応するのがよいでしょうか? 
この場合は「申し訳ございませんが、外出先で連絡も取りにくいかと思いますので、私のほうで急ぎ対応させていただきます」と、お詫びをして、番号は教えられないことを婉曲に伝えましょう。
ただし、下記のケースなどは、携帯電話番号を教えても大きな問題になることはありません。 
・本人から承諾を得ている場合
・本人が一度名刺を渡している相手の場合


ずさんな電話対応が情報漏洩事件のきっかけに?

もし、本人の同意なしに、第三者へ個人情報を話してしまったら、どういうことになるのでしょうか? 

まず『個人情報』とは、概ね、『生存する個人に関する情報であって』、『当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの』を指します。 
個人情報保護法の規制対象は、個人情報取扱事業者に限られるため、これらの個人情報を一個人が会社とは関係なく電話口で第三者にしゃべってしまったとしても、不正な利益を図る目的がなければ、特に罰則などはありません。

しかし、自社のコンプライアンスレベルを疑われるのは間違いありませんし、信用問題にも関わってきます。
「あの会社は個人情報保護の意識が低い会社だ」と思われて、経営上有利になることはまずないでしょう。

また、ずさんな対応を取ると、それが結果的に重大な個人情報の漏洩をもたらし、会社の責任が問われることもあります。 
情報漏洩を起こした事業者には、個人情報保護委員会から改善命令が下され、これにも従わないと、『6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金』いう刑事罰が科せられます。 
さらに、上記の刑事罰以外に、個人情報を漏洩されてしまった被害者から民事訴訟を起こされるという可能性もあります。

社内や取引先に関する情報をうっかり漏らしてしまうことで、会社の信用を大きく損ない、取引先との関係にヒビが入ってしまうこともあるでしょう。
たかが電話応対ですが、そこから意識のほころびが始まり、重大な漏洩事件につながってしまう可能性もゼロではありません。

日頃から情報保護に対する意識を持ち、電話応対の際にも、個人情報や業務に関する情報を不必要に漏らさないよう注意を払う必要があります。 


通話の録音は、個人情報保護法違反にはならない? 

最近では、企業のコールセンターの多くで、「電話応対の品質向上のため、通話を記録・録音させていただきます」という自動音声が使用されています。 

顧客との通話を事前の同意なく録音する行為は、個人情報保護法上、必ずしも個人情報の不正な取得(法17条)にはあたりません。 

しかし、無断の通話録音は、個人の人格権侵害として違法性を帯びる可能性や、通話相手に不信感を与える可能性もあります。 
これらをふまえ、企業としては上記コールセンターのように“録音データが何に利用されているか”を明示しておくのが望ましいでしょう。

電話応対は、会社のイメージや信頼度を大きく左右します。 
基本的なマナーだけでなく、情報の取り扱いに関する知識もしっかりと身につけ、誠実な応対を心がけましょう。


※本記事の記載内容は、2019年5月現在の法令・情報等に基づいています。

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