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知っておきたい! 『自己都合退職』と『会社都合退職』の違い

19.06.11 |

従業員が会社を辞める場合には、従業員自身の都合で退職する『自己都合退職』と、会社の都合で退職する『会社都合退職』の2種類があります。
どちらで処理するかによって、従業員にとっては失業保険の給付日数や給付額が変わってきますし、経営者にとっては助成金の一定期間の不支給や風評被害などの問題が出てくるため、トラブルが起きることもあるようです。
それぞれのケースを見ていきましょう。

それぞれの特徴とメリット・デメリット

・自己都合退職となるケース
転職、病気療養、結婚による引っ越しなどの理由で、従業員が自ら希望して退職する場合です。
また、失業給付においては懲戒解雇になった場合も一定の条件が揃えば、自己都合退職に該当します。
なお、懲戒解雇については不当解雇に当たる可能性もあるので、懲戒を行う会社側も、処分を受ける社員側も注意が必要です。

・会社都合退職となるケース
従業員が、会社側からの一方的な労働契約解除によって退職させられる場合に当てはまります。
一般的には、経営破たんや業績悪化に伴う人員整理などが該当しますが、それ以外にも、退職勧奨や希望退職募集に従業員が応じた場合や、勤務地の変更に伴って通勤が困難になった場合なども該当します。
また、賃金低下、パワハラなどが理由による退職も、会社都合に含まれます。

自己都合で従業員が退職する場合、人材流出というマイナスはあるものの、会社側に大きなデメリットはありません。
しかし、会社都合で従業員に退職してもらう場合は、厚生労働省管轄の雇用に関する助成金が一定期間不支給になる場合や、「経営が危ない」などの風評を立てられるといったデメリットが生じるおそれがあります。

離職理由を偽ると双方にペナルティが!

失業保険の受給においては、自己都合よりも会社都合の方が有利になります。
具体的には会社都合の方が自己都合よりも失業手当をもらえる日数が多かったり、もらえるまで約3カ月間待たされることもありません。
そのため退職する従業員から「すぐに失業手当を受け取りたいので、離職理由を『会社都合』にして欲しい」と依頼されることもあるかもしれません。
しかし、ここで情にほだされて、事実と違うにもかかわらず会社都合で処理してしまうのは、考えものです。
虚偽の離職理由で従業員に失業手当を受給させることは、不正受給に加担したこととなります。
そしてこれが発覚した場合、不正受給した本人と事業主には連帯して、不正受給金の返還命令または納付命令が出るだけでなく、詐欺罪などに問われて刑罰に処せられる場合もあります。
このうち納付命令には最大『3倍返し』のペナルティが適用され、受給した額の3倍の額の返還を求められることもあります。
会社と従業員、双方にとって退職を円満なものにし、退職後のトラブルを未然に防ぐためにも、離職票の離職理由は事実を記入するようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2019年6月現在の法令・情報等に基づいています。

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