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放置はトラブルの元!? 適切なタイミングで行いたい不動産の名義変更

19.08.01 |

不動産の名義変更は、あまり行われるものではありません。
名義変更が行われるのは、自分で土地などの売買をするときのほか、家や土地の贈与を受けるとき、親族が亡くなったとき、財産分与が必要になったときなどです。
名義変更を怠ると後にトラブルになることも多いため、必要となったときにしっかりと確認して進めることが大切です。
今回は、いざ名義変更が必要になったとき戸惑わないために、どのような手続きがあるのか、ご紹介していきます。

所有者間の合意がないと売却できない

不動産の名義変更とは、不動産登記簿に書かれている所有者の名義を変更する手続きのことですが、これを行うべきときに行っていないと、トラブルの原因になることがあります。

たとえば、土地の所有者を故人のままにして名義変更を行わずにいると、その土地を購入したい人が現れても売却ができません。
不動産の売却には、所有者間の合意が必須であるためです。

この場合、まず故人の土地の名義変更を行います。
相続人が一人であれば、その方に名義変更をするだけで済みます。
しかし実際は、兄弟など相続人が複数存在することもあり、そうなると相続人すべてに連絡を取る必要があります。

全員にすぐに連絡を取れる状態であれば、名義変更は比較的スムーズにできます。
困るのは、相続人と連絡が取れないケースです。
たとえば、相続人のなかに亡くなっている方がいた場合、相続の権利はその亡くなった方の配偶者や子どもに移ります。
権利が移った先の人物が、連絡が取れないほど疎遠であったり、消息不明であったりすると非常に厄介です。

不動産の売却には、権利者全員の同意が必須で、一人でも欠ければ売却は不可能となります。
だからこそ、適切なタイミングで名義変更を行っておかなければなりません。


名義変更手続きの流れと必要な書類

実際に名義変更を行うには、まず、所有権の確認が必要です。
対象の不動産の登記簿謄本を取得して、実質的な所有者と名義が一致しているかどうかを確認しましょう。
その際、表題部ではなく、所有権に関する事項が記載されている権利部(甲区)を確認します。

次に必要書類を揃えていきます。
ケースによって必要な書類は変わってきますが、一般的には下記のような書類を作成、あるいは取得する必要があります。

・戸籍謄本
・住民票
・印鑑証明書
・登記済権利証
・固定資産税評価証明書
・登記申請書
・登記原因証明情報

このほか、場合によっては遺産分割協議書や離婚協議書などが必要になります。
一つでも不足すると受け付けてもらえないので、漏れなく揃えるようにしましょう。

必要書類が準備できたら法務局に登記申請をして、受理されれば所有権が相続人に移動することになります。


離婚時も不動産の名義変更を忘れずに

離婚時の財産分与の際にも、トラブルにならないように不動産の所有権は明確にしておくことが大切です。

たとえば、夫婦で建てた家があって、購入時には持分を2分の1ずつ持っていたとします。
離婚の際にそのまま放置しておくと共有資産のままになるため、売却をしたくなった場合には双方の同意が必須となります。

もしも離婚後、子どもの親権を取った母親が亡くなったとすれば、その子どもが相続人となります。
子どもが未成年者であれば法律行為を行えないので、新たな親権者あるいは未成年後見人が代理人となります。
もしも父親が親権者となった場合、父親のみに相続権が継承されたような形になりますが、それは認められていません。
特別代理人を立てて交渉を行う必要が出てくる可能性も十分に考えられます。
特別代理人とは、遺産分割協議において、判断力が未熟な未成年者に代わってその人の利益を守るために立てる代理人のことです。
こうなると手続きは、どんどんややこしくなってしまいます。

不動産の名義変更の手続きについて、法律上の期限はありません。
とはいえ、放置したとしても相続放棄したことにはならず、自動的に相続人に相続されたことになってしまいます。
相続放棄の意思表示をする期限は、相続人が相続開始を知った日から3カ月と定められており、その期間内に相続放棄をしなかった場合には相続したとみなされます。

相続税の申告期限は相続人が相続開始を知った日から10カ月以内です。
名義変更に関しては期限はなくとも、それに伴って必要となる相続の手続きには期限があります。
そのため、トラブルはキリがないほど起こり得ます。
トラブルを避けるためにも、不動産の名義変更は適切なタイミングで行っておくことが大切です。


※本記事の記載内容は、2019年8月現在の法令・情報等に基づいています。

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