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業界誌に広告を出すことになったら… [佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法]

13.11.17 |

知人の女医さんがアメリカで医院を開業していて、
現地に住む日本人向けの雑誌に、
半ページほどの広告を出すことになりました。

私が広告・マーケティングを
大学で教えているということで、
彼女は予定されている広告原稿を私に見せて、
アドバイスを求めて来ました。

そこには
「内科全般対応、機材もだいたいそろっていて
保険も使えて清潔です」
といったメッセージが、どこを強調するわけでもなく
述べられていました。

ビジュアルは、看護師数人の写真です。

「これは担当する会社に頼んだ
広告原稿なんだけど、どうですか?」
と彼女は私に尋ねて来ました。
どーも、こーも、と私は思いました。

大企業が何10億円とかけて展開する
大キャンペーンというわけではなく、
こうした1回だけの半ページの開業医の広告であれば、
突飛なアイデアは必要ありません。
ある意味「普通によくできた」広告表現で充分です。

でも、その医院の特徴は示さなければなりません。
その特徴のことを、
広告の世界ではUSP(独自の売り)と呼び、
基本中の基本と言われています。

日本語で言うと
「他が言えない売り込みの効く主張」などと訳されます。
もっと簡単な言葉で言えば、
「差別化ポイント」と考えることもできます。

まず、あなたの会社の製品のUSPは何か、
差別化ポイントは何かをじっくりと考えてみてください。
特徴は、ハッキリさせることが必要です。

「ほのかなまったりさと、それなのに軽さもある、
やんわりとした飲み心地」のお茶があったとして、
買いたくなるでしょうか?
「これといった特徴もないけれど、
当たり障りもなく、値段もごく一般的」
なパソコンがあったとして
興味を惹かれるでしょうか?

先ほどの医院の例で言えば、
「女医ならではの優しい対応」とか、
「最新鋭の医療機器をそろえた最先端の医院」とか、
「どんな小さな身体の悩みにも応えます」とか、
どこかに特化するべきなのです。

そういった、その医院ならではのUSPを前面に押し立て、
「内科全般対応、機材もだいたいそろっていて
保険も使えて清潔です」といったことも伝えたければ、
詳しく読めば分かる程度の小さな扱いにするのが定石です。

さて、あなたが売るべきUSPは、何ですか?
時間のある時に、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか?


次回の佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法は
「“他でも言えること”でOK。
自分たちのWILL(意志)をメッセージにする方法」をお届けします。

[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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