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介護報酬改定による「介護職員処遇改善加算」の取り扱いは?

15.04.05 |

4月1日からいよいよ介護報酬が改定となりました。
改定により介護報酬を2.27%引き下げる代わりに「介護職員処遇改善加算」で介護職員の待遇を改善するとされていますが、果たして4月以降の介護職員の給与はどのようになるのでしょうか。

平成27年3月31日に厚生労働省が発表した最新情報「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」では、「処遇改善加算による介護職員の賃金改善の実施については、基本給、手当、賞与等(退職手当を除く)のうちから対象とする賃金項目を特定した上で行うものとする」とされていますが、介護職員への安定的な処遇改善が重要であるため、「基本給による賃金改善が望ましい」とされています。

しかし、以前に実施された「介護職員処遇改善加算に対する調査(日本介護福祉士会)」の結果では、「基本給への反映」が1割程度であり、一番多いのが「一時金(賞与・その他臨時支給分)の支給」が6割、続いて「各種手当の増額等」が3割となっています。

本来、介護職員の処遇や賃金などの労働条件については、事業所と労働者の間で決定すべき事項ですので、国の政策に頼るものではありません。しかし、介護職員の給与は全産業の平均給与と比較して低く、人材不足の大きな要因の一つとして認識されており、この人材不足に対応するための経過的措置として設けられたのが「介護職員処遇改善加算」です。

当初の方針では「介護職員処遇改善加算」は平成27年度までの制度であり、それ以降は加算分を介護報酬に組み込む予定とされていました。しかし今回、介護報酬が引き下げ改定となったため、加算を延長するという措置になりました。

現状では今後の「介護職員処遇改善加算」の見通しが不透明であり、廃止の可能性も考えられるため、調査結果のように「一時金」で支払う介護事業所が多くを占めていると思われます。

給与は、労働に対するモチベーションに大きく影響します。昇給や手当がついて上がるときは満足するけれど、降給や手当の廃止で引き下げとなると一気に不満要因につながります。

今回の改定によるニュースなどで、「すべての職員に一律に12,000円が加算される」というような誤った情報も錯綜しているようです。介護事業所は「介護職員処遇改善加算」の制度が終了される前に経営状況や財務状況を確認・分析し、効果的な「賃金テーブル」や「キャリアパス制度」が確立されるよう見直しが急務です。

介護事業最前線


[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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