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特定の層に絞って、強い支持を得る『ニッチャー』

14.02.02 |

リーダー/チャレンジャー/フォロワー/ニッチャー、
市場地位別の4つのタイプに沿って考えるシリーズの最後は、
ニッチャーとしてやって行く方法を考えてみましょう。

ニッチャーとは、マイナーな領域ではあるが、
競争相手が参入してこれないような
ニッチ(隙間市場)に集中し、
そこで圧倒的な強さを発揮しているような企業をいいます。

佐藤達郎のマーケティング論

ニッチャーは、売上や利益の総額では
リーダーやチャレンジャーにかなわないものの、
比較的高い利益率を達成している場合が多いといわれます。

なぜなら、ニッチャーの製品やサービスを購入する人々は、
かなりその製品やサービスにこだわりを持っていて、
価格が多少高くても買うケースが多いからです。

業界全体が価格競争に巻き込まれても、
ニッチャーは価格競争に巻き込まれずに、
安定した売上をキープできたり、
マイペースの成長路線を歩んでいけるともいわれています。

ニッチャーとしてやっていく場合に
気をつけなければならないのは、
そのニッチが業界の他の部分から切り離された、
一種の別空間になるように維持すること。

そして、そのニッチが徐々に、
確実に成長していくようなものであることが望ましいでしょう。

成長が速すぎるとリーダー企業が
必死に参入してこようとしかねないからです。

そのためには、競争相手が思いつかないような
ターゲット設定やサービス設定を行い、
彼らが保有しないような
独自の強みを生かせるような工夫が必要です。

たとえば、ある税理士さんの場合、顧客は主に作家やライターです。
この税理士さんは、出版社での編集者の経験を持つ変り種。
その経験を活かして、作家やライターの方の相談に乗り、
それらの「限定された」顧客が発注しやすい
作家/ライター向けの独自サービスを提供。
安定した受注をキープしているようです。

このように競争相手が特に意識しておらず、
かつ、ご自分の持つ強みを生かせるニッチ市場を探して、
そこに特化してみるのも、ひとつのやり方ではないでしょうか。


市場地位別のマーケティングについては今回で終わりになります。
次回からは、スタンフォード大学のプログラムで有名な
「デザイン思考」について、お話していきます。

[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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