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過去最多の倒産件数から見える介護業界の現状!

17.02.03 |

日本企業全体の倒産件数が減少傾向にあるなか、介護業界では2016年に倒産件数が急増し、過去最高を更新したことが分かりました。

2016年の老人福祉・介護事業の倒産件数(負債額1,000万円以上)は108件で、介護保険制度がスタートした2000年以降で過去最多となっています。
前年からの数値で見ても、倒産件数が76件から42.1%増の108件、負債総額は前年の63億8000万円から47.2%増となる94億600万円と大幅に増加し、業種別では「訪問介護事業」が前年の29件から65.5%増の48件と大幅に増えました。

特筆すべき点は、倒産した事業者の73.1%が従業員5人未満の事業者であり、また設立5年以内の事業者が50.0%と、「小規模」で「設立後間もない」事業者が過半数以上を占めているということです。

小規模事業者は資金力に乏しい会社が多いため、社会福祉法人等の資金力がある施設に勝るような営業面や設備等の強化が思うように進まず、加えて人材不足により介護労働者を確保することすらままならないという悩みを抱えており、経営の難しさを露呈しています。

▼急激に倒産が増加した要因▼

このように急激に倒産が増加した要因として、東京商工リサーチは次のような分析をしています。

(1)同業他社との競争激化による経営力が劣る業者の淘汰

(2)介護報酬の実質マイナス改定による収益への影響

(3)介護職員不足の中で離職を防ぐための人件費が上昇


また、介護業界の人手不足は、「国内景気が好況になると、人材が他業種へ流出するため」とも分析されており、介護業界の労働環境や賃金相場が、他の業種と比べて厳しい現状であることが浮き彫りになっています。

2017年も介護業界の淘汰は進むと予想されており、品質が低いサービスを提供する介護事業者は、倒産へ向かうレールに乗りかかっているといえます。

国は2017年4月から介護報酬の改定を予定していますが、「処遇改善加算」が1万円程アップする程度では、介護労働者を引き留める打開策になるとは思えません。

▼倒産しない事業所になるために▼

この厳しい現状を乗り越えるためには、短期的な計画だけではなく、中長期の計画をしっかりと立てる必要があります。

長時間労働や過重労働のイメージがつきまとう介護業界ですから、労働環境の改善やキャリアアップできる教育制度の導入等によって、良い人材が流出しない基礎を固める必要があるでしょう。
また、自社の品質やサービスを向上させることによって、利用者だけではなく、働き手にも魅力ある施設であると感じてもらえる事業所を目指した計画を立てることが、打開策につながるのではないでしょうか。


介護事業最前線 

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