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介護業界で常態化している「ワンオペ」と「連続勤務」の問題点は?

17.03.02 |

人手不足に悩まされている介護業界ですが、特に小規模施設の夜勤は過酷な状況に陥っています。 

介護施設の夜勤は「ワンオペ(ワンオペレーション)」と呼ばれる1人体制の勤務が常態化しており、「グループホーム」や「小規模多機能型居宅介護」等の施設では、夜の時間帯はたった1人で高齢者たちをケアしなければならないという状況は珍しくありません。 

■「ワンオペ」は人材の介護業界離れの原因 
介護施設の夜勤形態は、1日7~8時間勤務の「3交替制」と、1日約12時間勤務の「2交替制」に分けられます。 
90%以上の施設は「2交代制」の勤務形態を採っており、多くの施設が人手不足や経営の圧迫等の理由により、「ワンオペ」を余儀なくされているものと考えられます。 
また、「夜勤」から「日勤」という「連続勤務」を強いられることもあります。 

制度上は「ワンオペ」が禁止されている訳ではありません。 
しかし、特に重度の要介護者や認知症の利用者を受け入れている施設では、事件・事故の防止と安全管理のために利用者から目が離せず、まともに休憩を取れる施設は少ないのです。 
そのため介護スタッフにとっては厳しい労働環境であり、若い人材の介護業界離れの原因にもなっています。 


■「ワンオペ」と「連続勤務」は身体への負担が増加する
では、このような勤務態勢による法律上の問題点を考えてみましょう。 

労働基準法では、法定労働時間(1日8時間、週40時間以内)や時間外労働の上限(1ヵ月45時間等)、法定休日等については定められています。 
しかし、「労働日」と「次の労働日」のインターバルを何時間空けなければならないという法律はありません。 

また、夜勤の回数や拘束時間の上限等についても定められていなく、法定労働時間や休憩時間、変形労働時間制等の基準に従って勤務体系が組まれています。 
所定の割増賃金が支払われているのであれば、労働基準法違反にはならないということになります。 

ただし、連続勤務になることにで、1日8時間を超えて労働させる場合は、使用者と労働者の過半数を代表する者との協定(労使協定)の締結が必要となります。 
この労使協定は「36協定」と呼ばれており、「36協定」を締結していない限り、1日8時間を超えて労働させることができません。 

「ワンオペ」や「連続勤務」は法律上は問題がないとしても、連続での長時間勤務は身体への負担が増加しますので、健康面や安全面での管理は必要です。 

事業主は労働者の健康に関して管理を行い、安全面での配慮を施す責任が課せられています。 
長時間労働による疲労が原因で病気になったり負傷した場合に、労災が適用されたり損害賠償の責任を問われるリスクが考えられます。 

このようなリスクの回避と優秀な人材の流出防止のためにも、就業規則やルールブックなどを見直し、夜勤の勤務体制と安全管理体制を確立しておきましょう。 
医師による定期的な健康診断や面談を実施するなど、安全面での配慮を検討した上の勤務体系の整備が、いま求められているのではないでしょうか。 


介護事業最前線

 

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