「正しい競争」が組織を成功へ導く

サッカー日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、驚きの采配で勝利をつかんだ。 

3月23日に行われたアラブ首長国連邦(UAE)とのロシアW杯アジア最終予選で、およそ2年ぶりに招集した今野泰幸をスタメンに抜擢したのだ。
  

公開日:2017/03/31

所属するJ1リーグのガンバ大阪で、今野は安定したパフォーマンスを見せていた。2010年と14年のW杯に出場した経験もある。 
「クラブで結果を残している選手が選ばれる」という代表チームの原則に見合った選手だ。突然の招集も、先発への抜擢も、サプライズではない。 

クラブでの立場が今野とは真逆の選手も、UAE戦で10ヵ月ぶりに出場機会を得た。GKの川島永嗣だ。 

所属するフランスのクラブで、彼はポジションをつかんでいない。ただ、これまで日本代表のレギュラーだった西川周作が、在籍する浦和レッズでもったいないミスを繰り返していた。 
「結果を残さなければスタメンには選ばれない」という原則に基づき、西川ではなく川島が選ばれたのだった。 

今野と川島の登用は、勝利に直結した。これにより、ハリルホジッチ監督はリーダーとしての信頼をつかんだ。負けたら自らの進退が危ぶまれる一戦で、代表チームの原則を堅持したからだ。 

日ごろから良い準備をしている者にチャンスが与えられるという原則は、ビジネスシーンにも当てはまるだろう。 

それぞれのバックボーンとなる経験、実績、得意分野などは尊重されるべきだが、最優先する事項は現在進行形のスキルだ。 

サッカーでもビジネスでも、それは変わらない。「正しい競争」が、組織をたくましくして、成功へ導くのだ。 


スポーツの視点からみる人的資源 


●プロフィール● 
戸塚 啓(とつか・けい) 
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。