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情熱は言葉を超えて相手に伝わる

17.04.28 |

2016年のプロ野球で日本一に輝いたのは、パ・リーグの北海道日本ハムファイターズだった。2012年からチームを率いる栗山英樹監督が、若いチームをまとめ上げた。 

広島東洋カープと対峙した2016年の日本シリーズは連敗スタートとなり、チームは本拠地で第3戦を迎えた。栗山監督は勝利への執念を選手たちに伝えようと、試合前の円陣で熱っぽく語りかけた。

円陣が解けると、メキシコ系アメリカ人のブランドン・レアード選手が栗山監督に言った。 

「グッジョブ!」 

レアード選手は、日本語が流暢ではない。栗山監督は「本当にオレの言ったことを理解してくれたのかな」といぶかったが、「伝わるものはあったのかも」と感じたという。 

コミュニケーションの壁として立ちはだかるものに、国籍、年齢、性別などがある。自分は日本語だけ、相手は英語だけしか話せないと、意思の疎通は表面的なものにとどまりがちだ。年齢が離れている相手とは共通の話題が少ないことが多く、会話の滑らかさを欠いてしまうことも少なくない。 


異性や他国籍、異なる文化を持つ相手とのコミュニケーションとなると、不要な誤解を与えないためにも慎重さが先に立つことがある。とりわけ、取引先などとのコミュニケーションにおいては、よそよそしくなりがちだ。 

そうした壁を強引に壊そうとすると、気持ちにスレ違いが生じてしまうかもしれない。時間をかけてゆっくりと、という考えに着地しがちだ。 

そんなとき、いつもより少しだけ、大胆になってみるのはどうだろう。身体の中の熱を、そのまま相手にぶつけてみるように情熱的に語ってみるのだ。栗山監督とレアード選手のような心のつながりを、あなたも感じることができるかもしれない。 


スポーツの視点からみる人的資源 


●プロフィール● 
戸塚 啓(とつか・けい) 
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。

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