保険診療だけでは生き残れない? 自由診療を始めるときのポイント

国の長期にわたる医療費抑制政策にかかわらず、国民医療費は増加の一途をたどり、平成25年度には40兆円を突破しました。

診療報酬の大幅なアップが見込めないなか、診療所の収入を伸ばしていくことは容易ではないと思います。

こうした保険診療市場の閉塞感を打破する一手として、自由診療に活路を見いだそうとする診療所が増えているようです。
  

公開日:2017/07/07

自由診療というと、美容整形やがんの代替医療などが頭に思い浮かびますが、過去にトラブルも散見され、あまり良いイメージは持たれていませんでした。 

しかし、近年の健康や若返りへの関心の高まりに加え、国の医療政策も治療だけでなく病気にさせない施策にも力を入れ始めているのを背景に、アンチエイジングや、病気予防のためのピロリ菌除菌、PET/CT等を用いたがんドッグなど、多彩な広がりをみせています。

これまで、保険診療オンリーでクリニックを運営されてきた先生方のなかには、「本業に傷がつかないか」といった懸念から自由診療の導入に躊躇される方も少なくないと思いますが、「他院との差別化」や「患者サービスの充実」だけでなく、「経営の安定化」を図れる機会と考えることもできます。
何より、「国の政策に左右されず、地域の方々の健康づくりに貢献したい」といった“攻め”の医業ができるのも、保険診療との大きな違いです。 

とはいえ、自由診療を行うといっただけで、「儲け主義」といったレッテルを貼られるなど、競合からの“風当り”も皆無とはいえません。
周囲の目を気にせず、気持ち的にブレないためにも、自由診療への理念やそれを始める目的の設定が非常に大事になります。 

例えば、患者さんにとっても、「美容」「アンチエイジング」専門のクリニックに受診するのは勇気がいります。「どんなサービスか」「料金は大丈夫か」といった不安を抱えているのです。
しかし、信頼できるかかりつけ医が勧める自由診療であれば、患者さんも安心して受け入れてくれるのではないでしょうか。
「適正価格で安心・安全なサービスを提供する」という方針は地域の多くの方々から支持されます。 


一方、難易度の高い手技の伴う自由診療を導入し、もし医療事故が発生すれば、大きな痛手です。
まずリスクの少ないものから徐々にできることを増やしていくというイメージで導入されるといいでしょう。
疲労回復等に効果があるプラセンタ療法やニンニク注射はかなり身近なメニューとなってきており、こうしたものから始めていくことをお勧めします。  

また、カルテや診察スペースは保険診療と分け、自由診療に対しては事前の十分なカウンセリングやアフターフォローもしっかり行っていくことが肝要です。
自由診療では、より患者さんのニーズを知ることで、様々な提案を通してリピーターにしていくことが重要だからです。 


自由診療にはリスクも多少ありますが、それが一般的かつ本来のマネジメントの姿といえます。
保険診療が病気の方を“待つ”スタンスであるのに対し、自由診療ではいやが上にもマーケティング的な思考をしていかざるを得ません。
言い換えれば、経営者マインドを育むチャンスともいえるのです。 

自由診療の市場規模は1兆円超とまだ保険診療に比べるとまだまだ小さなマーケットですが、今後伸びていくのは間違いありませんし、急激な成長カーブを描けるかどうかは、先生の意識と取り組みにかかっています。


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