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「論理的思考」は得意ですか? 苦手な方にもわかりやすく、そのコツをお話します。その2。

17.07.14 |

「論理的思考のためのやさしいコツ」の中でもまず気に留めたいのは、「必ず理由とセットで考える」ことだと前回お伝えしました。

どのように理由を考えればいいのか、具体例を見ながら考えていきましょう。

「売り場の人からいい評価をもらえる」理由とは? 

たとえば、自分が計画したセールス手法が「売り場の人からもいい評価をもらえる」と主張したいとします。 

こんなときこそ、「それはなぜなのか?」という理由を考えないといけません。 


「今までと比べお客様に提案しやすいから」という理由だと、「売り場の負担が減る」ことを主張できます。 

ほかにも提案内容次第では、「負担は増えるがやりがいが出る」とか、「売り場担当者の競争心が高まり、モチベーションアップにつながる」という理由になるかもしれません。 


「女子高生にウケる」理由とは? 

また自分の提案が、「女子高生にウケる」と主張したいとしましょう。 

その理由の根拠を提示できるよう調査やインタビューを実施して、 

「女子高生は“ゆるい”ものが好きだという調査結果があり、自分の提案は“ゆるさ”にフォーカスしているから」 
「女子高生へのインタビューから、彼女たちは午後5時台に一番時間の余裕があるということがわかり、自分の提案は午後5時台を舞台にしているから」 

と提案するとより相手を納得さられるでしょう。 


パッケージ旅行の企画がヒットする理由とは? 

次は、パッケージ旅行の企画「ヨーロッパのミシュラン三ツ星レストランを効率良くめぐるツアー」について見ていきます。 

この企画には「グルメで比較的お金に余裕のある人が興味を示す」というメリットがありますが、それはなぜでしょうか? 

その理由はいくつか考えられます。 

「ヨーロッパの一流レストランに興味はあるが、自分だけで行くのは敷居が高いと感じる人が多いから」 
「ガイド付きで予約も入れてくれて三ツ星レストランを効率良くめぐれるのは、ツアーで行く価値になり得るから」 
「すでに何度かヨーロッパに行ったことがある人は、特定の目的に絞った旅行に反応すると考えられるから」 

このほかの理由も考えられるでしょう。 


論理的思考力を上げるフレーズ「それはなぜなのか?」 

この「理由探し」の能力は、仕事の場だけではなく、普段の生活から意識して訓練することが肝心です。 

「それはなぜなのか?」。このフレーズをいつも心に置いておきましょう。 

「私はいま悲しい。それはなぜなのか?」 
「なぜなら、職場で上司に言われたキツイ言葉が胸に刺さっているから」 

「私はいま嬉しい。それはなぜなのか?」 
「なぜなら、帰り道にタンポポがきれいに咲いているのを見たから」 

「私はいま無性に身体を動かしたい。それはなぜなのか?」 
「なぜならば、このところデスクワーク続きだから」 

「温泉に行きたい」となんとなく思ったときもその気持ちだけ終わらせず、その理由について可能な限り考えてみましょう。 

「このところ仕事が忙しかったから」 
「しばらく温泉に行ってないから」 
「心身ともに疲れているから」 
「身体が休息を求めているから」 
「温泉に行くからには仲間を誘うわけで、みんなとの交流が楽しそうだから」 
「いつもとは違う場所に行くことでリフレッシュし、次のいい仕事につながるから」 

特に正解があるわけではありません。
自分なりの理由を探して、言葉にしてみることこそが大切なのです。 

次回も「論理的思考のためのやさしいコツ」についてお伝えしていきます。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 



●プロフィール● 
佐藤達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

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