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マーケティング論の基本中の基本「4P理論」を、ここで改めて勉強しましょう。② 

17.07.28 |

前回から、マーケティング論の中でも有名な理論のひとつである「4P理論(Product・Place・Promotion・Priceの4つを指す)」について、沼上幹氏の『わかりやすいマーケティング戦略』(有斐閣、2008)に沿って紹介をしています。 

前回はProductの「本質サービス」について解説しましたが、今回はProduct「補助的サービス」Placeについてお話をしていきます。

「補助的サービス」とは、“ブランド” “パッケージ” “ネーミング” “おまけ” “無料配送” “購入後の保証” “メンテナンス・サービス” などを指します。

この「補助的サービス」の善し悪しによって売上が大きく変わることも、決して珍しくはありません。 

“ブランド”という言葉をよく耳にすると思いますが、具体的にはどういうものなのでしょうか? 

本質サービスを心、ブランドは顔・名前だと理解するとわかりやすいかもしれません。
本質サービス(心)をきちんと表現できるような、ブランド(顔・名前)の設定が必要なのです。 

『わかりやすいマーケティング戦略』で紹介されている実験から、ブランドについてもう少し詳しく考えてみましょう。 


「吉野家」という店名が売上に与える影響とは? 

牛丼チェーンとして有名な「吉野家」が、店名を「築地家」と変え、まったく同じ味の牛丼を安く売る実験をしました。 
吉野家の店舗だったところを改装しただけで立地が変わっていないにもかかわらず、築地家の売上は吉野家よりも下がってしまいました。 

そこから、築地家を吉野家に戻し、価格も以前と同じようにしたところ、入客数は3割アップしたそうです。
このように立地も味もまったく同じ商品でも、店名というブランド次第で異なる反応が現れてしまいます。
顧客はブランドという顔や名前を見て内面を察し、商品・サービスを購入していると考えられるのです。 

ブランドにこだわっているのは大手企業だけではありません。
商品名に「『○○農園』のリンゴ」と付けているりんご農家もあり、ブランドを重視している中小企業が増えてきていると見受けられます。 


保証やメンテナンスは“おまけ”として魅力を発揮する 

次は、“おまけ”について考えていきましょう。
商品そのものではなく、おまけが欲しくて商品を買ってしまうケースは、昔からよくあります。 

“おまけ”と聞くと「グリコのキャラメル」や「ポケモンパン」などの商品を思い出す人が多いかもしれません。最近では、限定製品であるポーチ付きの女性向け雑誌が売れているといいます。 

おまけとは、新たな商品をプラスアルファすることではありません。 
故障したときに自分で修理できない製品に対して、保証やメンテナンス・サービスを付けることも“おまけ”のひとつだといえます。 

「本質サービス」があってこその「補助的サービス」ですが、事例を見ているとネーミングやおまけといった「補助的サービス」が重要だと感じてもらえるのではないでしょうか。 


売り場によっては商品イメージが下がってしまう? 

2つ目のPの“Place”について触れていきます。
この過程では「どこで売るか?」を考えないといけません。
「商品の出口の設定」とも言われているのですが、“出口”と“消費者”が合致していることが重要になってきます。 

たとえば、大盛りのカップ麺ならどこに置くのがベストでしょうか? 
都心にあるデパートの客層には合っていませんよね。コンビニやスーパーの方がいいと判断できるのではないでしょうか。 

また高級なバッグを、スーパーやコンビニに置こうとはしないでしょう。
どんなに質が良くても、置く場所を間違えてしまうとマイナスイメージを与えてしまうのです。 

「売る場所を選ぶのは簡単だ」と思う方もいるかもしれませんが、最近はインターネットにも売り場が広がってきており、今後はより売り場選びが難しくなることでしょう。 

次回は、3つ目の“Promotion”を中心に話を進めていきたいと思います。



佐藤達郎のマーケティング論


●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

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