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“ジョブシェアリング”が介護業界の人材不足を打開する?

17.08.04 |

慢性的な人材不足に陥っている介護業界。
2016年11月に厚生労働省が発表した介護業界の有効求人倍率を見ると過去最高の3.40倍となり、全職種平均の1.31倍を大幅に上回りました。
その後も、12月は3.60倍と過去最高を更新し、2017年1月は3.50倍と高水準を維持しています。

有効求人倍率とは、「求人している会社の数」を「求職者の数」で割ったものです。 

つまり、求職者1人あたりに何件の求人があるかを示す数値で、例えば30社の求人に対して10人が応募した場合は、有効求人倍率が「3」となります。 

これは景気の動向を示す数値であるとも言われていますが、全職種平均に比べて2倍以上の数値となっていることは、業種間でのバランスに偏りがあり、介護業界においては1人を採用するのに3~4社で取り合うという厳しい状況に陥っていることがわかります。 

介護業界が敬遠される理由として、「過酷な現場環境」「長時間労働」などの仕事の負担に対して、「低賃金」「休みが取れない」などの待遇面が追いついていないことが挙げられます。 

介護の現場は、限られたスタッフで利用者のあらゆる介護サポートを行うため、仕事はハードであるにもかかわらず、国からの介護報酬には限りがあり、報酬にはつながりません。 

求人募集しても必要な人数が集まらないため、仕事の負担は重なり、新人教育にも思うように時間を割くことができず、新入社員が短期間で辞めていくという悪循環に陥っていると言えます。 

国も「2025年問題」を見据えて、処遇改善加算の1万円アップや外国人雇用など、さまざまな人材不足対策を講じていますが、現状ではいずれも打開策とまではいっていないようです。 

そこで、最近になって注目されだしたのが“ジョブシェアリング”。
ジョブシェアリングとは、「1つの業務を複数の人で行うこと」を意味し、特定の人しか業務を行うことができない場合のリスク(病気、退職など)を低減するための取り組みです。 

求人メディア運営会社の株式会社リジョブ(東京都新宿区)が専用ホームページを立ち上げ、普及を促進しています。 

1人の介護スタッフが担当している複数の業務を「送迎」「入浴」「朝食介助」「昼食介助」「おやつの配膳」「レクリエーション」「清掃」などに分け、専業化します。
これにより短期間で業務をマスターすることが可能となり、介護業界未経験者や高齢者、主婦など多様な人材の確保が期待できます。 

これからは、介護専門求人サイトやアルバイト専門の求人サイトとの連携も行っていくとのことで、他の業界に流れていた人材をどの程度介護業界に呼び戻せるか、そして人材不足の打開策となるか、今後の動向に注目です。 


介護事業最前線

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