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NOをYESにする力! 結果を出すための「説明術・プレゼン術」 その6

15.02.18 |

これまでご紹介した「言語化力」「細分化力」「質問力」に加えて、最後に必要となるもの。
それが、相手の関心に即して変幻自在に説明を変える「調整力」です。

提案というものは、そもそもが違う立場の人にするものです。
企画を提案する人と発注者。
部員と部長。
部員と他の部門の部門長。
部長と役員。
サービスを提案する人とサービスを発注する人。
営業をする人と購買を決める人。
広告会社と宣伝部、などなど。
決定権者は、立場はもちろん、バックボーンやカルチャーの異なる人であるケースも少なくありません。
彼らは、あらゆる意味で、あなたとは異なる人間だと考えた方が良いでしょう。

佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法

となると、相手の立場に立つ、ということが、非常に重要になってきます。
が、相手の立場に立つ、とは具体的にはどういうことでしょうか?
それは、相手の視点で見るということです。

僕は、リアルに机の向こう側に座っているシーンを想像します。
「あちら側」にもう一人の自分を座らせるのです。
そして「こちら側」を見る。
プレゼン資料を作る時から、想像上の「あちら側」の目で見ます。
そして、いろいろ突っ込みを入れてみる。

「そうは言うけど、このアイディアで売り上げに直結するかね?」
「これで本当に人が集まるかなぁ?」
「資料にはいいことばかり書いてあるけど、本当に実行できるの?」
そんな風にリアルに、想定される決定権者になりきってみるのです。
僕はこのやり方に「相手目線カメラ」という名前を付けています。

そして「調整力」発揮を進めていくと、「相手の得」にさりげなく言及する、というポイントに行きつきます。
決定権者がYESという理由は何でしょうか?
いろいろな理由があるでしょうけれど、究極を言ってしまえば、「自分自身の得」になるからです。

たとえば宣伝部長が提案された広告案にYESというのはもちろん、その案を採用することで自社製品が売れるという得が見込めるからですが、実は、もっと現実的で具体的な「得」もたくさん考えられます。
上司である宣伝担当役員に誉められる。
営業部長から御礼を言われる。
ひいては社内の評判が高まり自分の出世につながる。
これらは、宣伝部長にとっての大きな「得」です。
この「得」について、伝える必要があるわけです。

それでも、「上司に誉められますよ!」と、あまりあからさまに言うと気分を害する方もいらっしゃるでしょう。
だから、そこは少し遠回しに「御社内でも、きっと評判を呼ぶことと思います」くらいの言い方で伝えましょう。

相手がYESと言える理由を提示できれば、企画も提案も通るということになります。
「問題が起きなさそうだから」という理由でYESを言う人もいれば、「チャレンジングなことをしたいという自分の想いに合っているから」という理由でYESを言う人もいるわけです。

相手がどんなタイプで何を求めているのか。
それについて想いをめぐらすことを忘れないよう、常に心掛けることが大切です。

さて、次回からは、いくつかのアイディアの中から実行案を選ぶ、その選び方について考えていきたいと思います。


次回の「佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法」は
『アイディアは、つくるより選ぶのが難しい? アイディアの選び方、その1』をお届けします。



[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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