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ルーティーンで緊張をやわらげる

16.09.02 |

リオデジャネイロ五輪で、日本選手団は史上最多の金メダルを獲得した。ギリギリの状況まで追い詰められながら、逆転でメダルをつかんだアスリートやチームもいる。

日本人選手のメンタルの強さに、感心させられた方も多かったことに違いない。 

メンタルの強さは、一日で身に着くものではない。朝起きたら不動の精神力が身についている、などということはないのだ

たとえば、大相撲の琴奨菊関は、取り組みの直前に大きく胸を反る。

メディアから“琴バウアー”と呼ばれるもので、本場所では観衆がひと際盛り上がるシーンだ。 

しかし、琴奨菊関のルーティーンはこれひとつではない。

朝起きてからの行動すべてに、彼は意味を持たせているのだ。「ルーティーンがいくつもあることで、ふとしたときに対応できるというのが私の考えです」と話す。 

ビジネスシーンで勝負どころとなるプレゼンや商談の直前に、「失敗するわけにはいかない」と気合を入れても遅いのだ。

ここぞというシーンで自らの組織が力を発揮できるように、リーダーは部下のメンタルにも気を配りたい。 

特別なことをやる必要はない。両手と両足を思い切り伸ばす、大きく深呼吸をする、琴奨菊関のように胸を反らす…「リラックスできるな」と思える動作なら、どんなものでも構わない。

タイミングも特に制約はなく、始業前だけでも、会議の前でも大丈夫だ。

気持ちを落ち着かせられるもの、気持ちをフレッシュにできるものを、ルーティーンとしてビジネスの現場に組み込むことが大事なのである。 

世界を舞台に闘うアスリートは、たった一度のパフォーマンスのために、膨大なトレーニングを積む。そのなかにはメンタルトレーニングも含まれている。

実は、メンタルトレーニングこそが、もっとも重要なのである。


スポーツの視点からみる人的資源 


[プロフィール] 
戸塚 啓(とつか・けい) 
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。 

[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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