いろいろあります!自宅の譲渡に関する特例 ~利益が出た場合~
17.05.18 | 【税務】
土地や建物等を譲渡した場合は、給与や他の所得とは区別して課税がされることとなります。
今回通常の譲渡損益に対する課税と、自宅の譲渡の場合の特例で譲渡により利益が出た場合の取扱いについて、紹介していきます。
土地や建物等を譲渡した場合は、給与や他の所得とは区別して課税がされることとなります。
そのなかでも、自己の居住用として所有していたものの譲渡については、生活用財産の譲渡であることに対する配慮や、政策上の観点等から、様々な課税の特例が設けられています。
今回は通常の譲渡損益に対する課税と、自宅の譲渡の場合の特例で譲渡により利益が出た場合の取扱いについて、紹介していきます。
《1》自宅の譲渡の特例における共通事項
①自宅とは・・・
自分が住んでいた家屋又は家屋の敷地をいい、敷地については家屋とともに譲渡した場合のみが特例の対象となります。
また、住まなくなってから3年目の年の12月31日までに譲渡した家屋又は家屋の敷地も、自宅として特例の対象となります。
②親族に対する譲渡は対象となりません
親子や夫婦、生計を一にする親族などの特殊な関係者に対する譲渡は、特例が受けられません。
③重複して受けることは出来ません
その譲渡について、特例を重複して適用することは出来ませんし、譲渡した年の前年及び前々年に、自宅の譲渡に関する特例を受けたことがある場合は、特例を受けることは出来ません。
《2》通常の土地や建物等の譲渡益に対する課税
譲渡所得(譲渡収入?(取得費+譲渡費用))に対し、次の所有期間に応じた税率によって課税されます。
・その年1月1日における所有期間が5年以下の土地建物等の譲渡・・・30.63% (住民税9%)
・その年1月1日における所有期間が5年超の土地建物等の譲渡・・・・15.315%(住民税5%)
《3》自宅を譲渡して利益が出た場合の特例
①特別控除と税率軽減の特例
自宅を譲渡し、一定の要件に該当する場合には、最高3,000万円を限度として特別控除を受けることが出来ます。 譲渡益が3,000万までは、税金がかからないという訳です。
譲渡益から特別控除額を引いた譲渡所得に対して①の税率で課税されるのですが、自宅の所有期間が、その年1月1日において10年を超える場合は、①の税率に代えて次の軽減税率の特例を受けることが出来ます。
・譲渡所得額が6,000万円以下の部分・・・10.21%(住民税4%)
・譲渡所得額が6,000万円超の部分・・・・15.315%(住民税5%)
②自宅を買換えた場合の課税の繰延の特例
一定の要件を満たす自宅の買換えの場合は、譲渡の一部又は全部がなかったものとみなされます。
譲渡がなかったものとされた部分については、譲渡した自宅の取得価額が引き継がれ、
買換えた自宅を売却した時に課税されることとなるので、課税の繰延と呼ばれます。
《要件》
・譲渡した自宅は、譲渡した年の1月1日において所有期間が10年超であること
・譲渡した自宅の所在地に10年以上居住していること
・売却価額は1億円以下あること
・買換えた自宅について、その譲渡の前年から翌年末までに取得をし居住すること
《譲渡所得》
・譲渡収入 ≦ 買換えた自宅の取得価額 ・・・譲渡がなかったものとみなす
・譲渡収入 > 買換えた自宅の取得価額 ・・・取得価額を超える部分のみ譲渡があったものとみなす
③被相続人の自宅(空家)の譲渡の特別控除の特例
相続等により取得した被相続人の自宅(空家)の譲渡をし、一定の要件を満たす場合には、最高3,000万円を限度として特別控除を受けることが出来ます。
《要件》
・相続開始の直前において、被相続人だけが居住していた自宅であること。
・相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと
・相続の開始があった日から3年目の年の12月31日までの譲渡であること
・売却価額が1億円以下であること
《4》住宅ローン控除との併用適用について
上記《3》①②の特例を受ける場合は、住宅ローン控除を受けることが出来ません。
《5》最後に・・・
特例を受けるためには、必ず確定申告が必要になります。
要件については、詳細にわたる規定があり、また、複数の特例要件に該当する場合もあるため、 どの特例を受けた方が有利になるのかは、慎重に検討する必要があるでしょう。
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