TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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『知のプロフェッショナル』~そのためには、まずは朝ご飯から~

17.06.15 | 人事・育成・組織

■ 一家庭2名まで。。。

2ヶ月ほど前、子どもの大学入学式。

入学手続書類とともに、一家庭2名まで。。。との注意事項付で事前に郵送された入場整理券。
家内とともに出かけてみると、新入生約3,000名に対して、保護者はなんと約6,000名の参加。

う~~~ん、そういうことだったのか?!

周りを見渡してみても、確かに熱心そうな親御さんばかりのように見える。
そういえば、今からウン十年も前、オヤジもオフクロも入学式には呼ばなかったな~~と、当時の親不孝ぶりを反省しながら、少しばかり感慨深い面持ちで、入学式に臨んだ一日。

その時の大学総長の式辞が、とても印象深い内容!

大学生活のみならず、広く社会人として生きていく上でも、とても有意義な内容!!

会社の朝礼やクライアントとのMTGでも、是非とも伝えたいと思いつつも、入学式当日にiPhoneでメモを取り切れなかったことを悔やみながら。。。時が過ぎてしまっていました。

■ なるほど~~そういうこと

少し悶々とするなか、入学式から1ヶ月くらいした後、
なんと嬉しいことに、保護者あてに総長の式辞が一言一句漏らさずに記載された冊子が、
私の自宅にも届いたのです。
大事なメモを取り切れなかっただけに嬉しいかぎり!
おやっ、封筒の中身を、よ~~~く見てみると、大学への寄付金のご案内付き?!
なるほど、そういうこと!?

それはそれとして・・・
ビジネスをしていくうえでも、とても有意義な内容でした。

それでは、総長の式辞を、我々職業会計人の世界に置き換えてみると、
どういうメッセージになるのだろうか?

この機会に少し考えてみました。


■ 「知のプロフェッショナル」の育成

まず冒頭で、大学の掲げる教育理念は、
「知のプロフェッショナル」の育成である旨を掲げています。

知をもって、人類社会をより良くするために主体的に行動し、
新たな価値創造と課題解決に挑む人材の育成。

 
社会人となったビジネスの世界でも、
最終的に目指すべき目標は「社会への貢献」すなわち
「自らの知とともに、知を活かす人格をも磨きあげて、いかに社会に貢献していくか」
に尽きると思うのです。


■ 「知のプロフェッショナル」となるべく、3つの基礎力

さらに総長は、新入生に、こう呼びかけています。

「知のプロフェッショナル」となるためには、3つの基礎力を養ってほしい。

第1は、「自ら原理に立ち戻って考える力」
第2は、あきらめず「忍耐強く考え続ける力」
第3は、「自ら新しい発想を生み出す力」

3つの基礎力をベースとして、社会に貢献するためには、
「多様性を尊重する精神」とともに
自分の立ち位置を見据える「自らを相対化できる広い視野」が必要。

かかる基礎力、精神、視野を身につけて、
人々の間に「知に支えられた真の共感」を生み出す担い手となってほしい。


大学では、知識の量ではなく、基本となる知識を柔軟な発想によって使いこなす力を鍛えてほしい。

早い段階で、これまでのような受け身の学習から主体的な学びに変えていく、
そんな勉強の流儀を身につけ、楽しんでほしい。



■ 職業会計人も「知のプロフェッショナル」たらん。。。

私ども職業会計人の世界でも、職業的専門家として自らの専門能力の向上とともに、
実務経験等から得られる知識の蓄積に常に務めることが、
「知のプロフェッショナル」たらん職業人の使命として掲げられています。

そうはいっても、折々で、様々な壁にぶち当たるのも事実・・・
そんなときに求められるのが、先の3つの基礎力のようにも思えます。

経営者とともに大きな判断をしなければならないような、大事な場面では、
根本の原理原則に立ち返って、あきらめずに忍耐強く、そして新しい知恵や発想を絞りながら。。。

真剣に考え抜き、周到に準備をして、クライアントに真摯に提供した助言は、
たとえその場ではすぐに同意を得られなかったとしても、
何らかの共感を得られてきたように思うのです。


■ 『まだ見ぬ答え』に向けて

総長の話は続きます・・・

『まだ見ぬ答え』を導くために、根拠のある事実を積み上げ、
厳密にまた論理的に思考を進める必要がある。

どのような情報を調べるか、得た情報をどう解釈するのか、その取り組み方を学ぶなかで、
第1の基礎力「自ら原理に立ち戻って考える力」、
第2の基礎力「忍耐強く考え続ける力」を鍛えるとはどういうことか、実感し身につけてほしい。
専門課程に進むにつれて、第3の基礎力「自ら新しい発想を生み出す力」を意識してほしい。
なにより大事なのは、自ら問いを立て、そしてその問いを自分で解いていくことです。

なぜそのような問いを立てる力が大切か。
それは、大きく変わりつつある現代の世界で生き抜くためには、
簡単に答えを見つけられない、まだ答えが用意されていない問題に挑戦し続けなければならないから。


■ 『まだ見ぬ事態』に備えて

どのような情報を調べるのか。
得た情報をどう解釈し、組織としてどのように共有していくのか。
『まだ見ぬ事態』に備えて、日々の情報・事実をどう積み上げていくのか。

机上の研究職ではなく、いわば現場の臨床医のような仕事をしている私どもにとって、
『まだ見ぬ事態』に対するには、日々の問題を積み上げていくしかありません。

「報」「連」「相」・・・
報告・連絡・相談を大切に!ということは広く言われます。

先週、当社の全体MTGでも、
『報告力』を高めよう!というメッセージを、ちょうど出したところです。
上司への報告、同僚への報告、クライアントへの報告・・・
この『報告力』を高めることが、クライアントへの説明責任を果たし、顧客満足度につながるのではないか。

時にクライアント企業への投資家に対するアカウンタビリティをも果たし、
投資価値を高めることに会計人として貢献することにもつながるのではないか。 

上司や同僚への説明責任を果たし、共有することにより、
業務にまつわる様々な事故を未然に予防することにもつながるのではないか。

さらに税務調査等があったとしても、かねてよりの業務報告記録に基づいて、
より説得力のある議論を行える、税務当局からの信頼醸成にもつながのではないか。


■ 『空気が変わる瞬間』の体験を!

人財育成のあるべき姿を掲げる総長の式辞には、うなずくばかりなのですが・・・
最後の最後に、その「第一歩に向けた秘訣」にふれられた際には、
これまで以上に、大きくうなずいてしまいました!

道のりは遠そうだが、第一歩を踏み出しさえすれば、決して難しいことではない。
その第一歩となる秘訣。
それは、教室で発言すること。
大学の教室は、知のコミュニケーションの場。
多様性が許され、個性が歓迎されることを知ってほしい。

自分と異なった意見を知って、ハッとする体験がとても重要。
いわゆる『空気が変わる瞬間』を体験することを通じて、
「多様性を尊重する精神」を育んでほしい。
 
この精神こそが、知に支えられた真の共感の基礎なのです。
思う存分考え、学ぶためには、なによりも自分自身の心身の健康が大切。
まず朝ご飯をしっかりと食べ、
一日の始まりの時間から、有意義に使うようにしてほしい。


■ 『まだ見ぬ答え』に向けての第一歩!?!


まさに、なるほど~~~です。
おそらく、経営者なら誰もが、部下を持つ上司なら誰もが経験したであろう、
会議や打ち合わせ等での社員の発言の少なさ。。。

そうか!
第一歩は、積極果敢に発言すること!!
そのことが、社内での多様性を認めることのみならず、
クライアントとのビジネスの場面でも様々な多様性を認めることにつながる。
ひいては、そのことが様々な『知』を生み、
『知のプロフェッショナル』となることにつながっていく。

悲しいかな。。。
年齢と経験を増すごとに、感じることが少なくなっていく『空気が変わる瞬間』。

今日一日、ハッと『空気が変わる瞬間』を感じることができるかどうか!

それは、自らの発言にかかっているのだということを、強く意識していきたいと思います。

そのためには、まずは朝ご飯から・・・ですぞ!!
(自らに言い聞かせています。。。)


      平成29年(2017年)6月
                山  崎   泰

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