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観光庁から「災害ボランティアバス」に関する通知が出ました

17.09.02 | 非営利・公益

2017年7月28日に、観光庁から災害時のボランティアツアー(いわゆる災害ボランティアバス)について、一定条件のもとに、NPOやボランティア団体が実施しても、旅行業法に抵触しないという通知が出ました。
これにより、何かと制約が多くて窮屈になっていた被災地へのボランティアツアーが行いやすくなりますが、一方で、実施する側としては、安全実施に向けた責任が重いものとなります。

以下に、その通知と、QAをご紹介します。

■一定の条件の概要は以下のとおりです。
(1)主催者について
主催者は、発災を受けて組成されたボランティア団体、又は発災を受けて参加者を募集するNPO法人や自治体、大学等とする。
(2)参加者名簿を提出すること。
提出先は、被災または送り出しの自治体、または社会福祉協議会等準公的団体。
(3)観光庁が、被災の規模・状況に応じて定める期間内であること。
(4)責任者が明確で事業実施中、連絡が取れること、関連法令について知識があること、損害賠償責任保険等に入っていることなどなど、ボラバス事業を安全に実施するための運営体制が確立されていること。 

■観光庁「災害時のボランティアツアー実施に係る旅行業法上の取扱いについて(通知)」
災害時のボランティアツアー実施に係る旅行業法上の取扱いについて、以下の通り通知を発出しましたので、お知らせします。 
観観産第174号  平成29年7月28日
各都道府県旅行業担当課長殿                                               
観光庁参事官(産業政策担当)                                    

これまで、ボランティアツアーのための旅行業法上の取扱いが限定的であったため、社会福祉協議会、NPO法人からボランティアツアーの催行がしにくいとの指摘がされていました。このため、旅行業法の目的である旅行者の安全・利便性の確保を引き続き図りつつ、緊急性・公益性の高いボランティアツアーを円滑かつ迅速に実施できるよう、現行の旅行業法に抵触せずに運送サービス、宿泊サービスを提供できる方法について、ボランティアに限定して下記のように運用することとします。
                記
(1) ボランティアツアーの主催者について
ボランティアツアーの主催者は、発災を受けて組成されたボランティア団体、又は発災を受けて参加者を募集するNPO法人や自治体、大学等とする。
なお、ボランティアツアーを主催するNPO法人や大学等は、事前に参加者名簿を被災又は送り出しの自治体又は社会福祉協議会等準公的団体に提出することとする。また、ボランティアツアーを主催する自治体又は社会福祉協議会等準公的団体も、同様に参加者を把握することとする。
その上で、当該団体がボランティアツアーの募集や料金収受を行った場合でも、日常的な接触のある団体内部での行為とみなし、旅行業法に抵触しないこととする。
また、ボランティアツアーの参加者について、把握済みの成員を対象とするときは、当該団体が発災後一定の期間内にボランティアツアーを繰り返し催行する場合であっても、改めての提出は不要とする。

(2) 適用する期間について
ボランティアツアーにおける旅行の募集に係る運用を適用する期間については、観光庁にて、被災の規模・状況に応じて、後日、適用の終期を示すこととする。

(3) 適用に必要な措置について
本運用においても、旅行業法の趣旨である旅行者の身体的及び財産的安全の保護及び旅行目的が達成されるよう、以下の措置を確保した上で実施することとする。
 [1] 旅行の企画・募集の段階から責任を持って遂行できる責任者を置くこと。
 [2] 当該責任者は催行しようとする旅行に関する法令について確実な知識を持つこと。
 [3] 当該責任者が旅程が安全面において問題なく、かつ旅行目的を達成していると判断する能力を有すること。
 [4] 旅行中に連絡が取れる責任者を置くこと。
 [5] 事故発生時の損害賠償に備えて損害賠償責任保険加入等の措置が取られていること。
なお、各都道府県においては、「ボランティアツアー実施にかかる旅行業法上の取扱について」(平成28年5月25日観観産第78号)によらず、遺漏なく取り計らうようお願いします。また、NPOや社会福祉協議会等から災害時のボランティアツアー実施に係る旅行業法上の取扱いについて相談があった場合は、本通知の趣旨を踏まえ、適切な助言を行うとともに、更に懸念がある場合には、観光庁あて確認をお願いします。

……………………. 

■平成29年7月28日観観産第174号に関する参考資料 
問1.今回の通知を発出した趣旨を教えてください。
答.ボランティアツアーについて、平成28年5月に観光庁が発出した通知の内容が制限的であるとの指摘があり、緊急性・公益性の高いボランティアツアーに限定して旅行業法に抵触せずに実施できるよう、運用することとしたものです。
具体的には、もともと顔見知りの間での旅行の企画・募集は、旅行業法の適用外であることから、災害時のボランティアツアーについても当該参加者を顔見知りとみなすことで、旅行業法を適用しないこととしました。
なお、被災地においてこのような運用を行う期間はそれぞれの被災の規模・状況に応じて設定し、観光庁HPで示す予定です。 

問2.参加者名簿を受け取る自治体や社会福祉協議会等は、ツアーの内容について責任を負うことになるのでしょうか。
答.自治体や社会福祉協議会等への名簿提出は、募集に応じ、参加された方々が「日常的に相互に接触のある者」に準じて一体性を持っていることを、公的な団体である自治体や社会福祉協議会等に対して行うことで担保するものです。
名簿提出を受け、名簿掲載者と実際の参加者を照合するような義務や、ツアーの内容を保証するような責任を負うものではありません。なお、観光庁や都道府県の旅行業担当部局が事後的に調査等を行う際に、参考とすることはあります。 

問3.参加者名簿の保存年数に決まりはあるのでしょうか。
答.書類の保存年数は、国の事故発生の報告書等の保存期間が3 年であることを参考に、各自治体で決めてください。 

問4.ボランティアツアーの運用の対象となる災害はどのように決まるのでしょうか。
答.対象となる災害は、この参考資料は、観光庁に寄せられたよくある質問を掲載しております。こちらをご覧いただいてもなお懸念がある場合には、観光庁までお問い合わせください。
・国土交通省に災害対策本部を設置するような大きな災害
・現地でボランティアの受入態勢が整った場合
・現地の受入ニーズがある場合
などを総合的に判断し、対象とする予定です。 

問5.災害時のボランティアツアー実施に係る本通知による運用がなされる期間が終了した後は、ボランティアツアーは実施できなくなるのでしょうか。
答.本通知による運用がなされる期間は、ボランティアニーズがなくなったことを確認した上で終了することから、ニーズがあるうちは運用を一方的に打ち切ることはありません。 

問6.通知の(3)適用に必要な措置における、責任者の能力の有無の判断基準はあるのでしょうか。また、その確認方法はどのように行えばいいのでしょうか。
答.最低限、催行される旅行中の安全の確保がなされ、かつ、募集した際に提示した旅行目的が確実に達成されることを判断できる能力が求められます。 

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