TFSグループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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現政権に対する評価と課題!職業会計人として「中小企業の現場を知る経済政策」を!

14.05.30 | 【バックナンバー】山崎泰の月刊メッセージ(2014年5月まで)



■参院選で、「憲法改正」とともに「経済政策」が大きな争点に!

 参院選で、憲法論議とともに大きな争点になりそうなが、経済政策です。
 昨年12月に発足した安倍政権は、「強い経済の再生」を最重要課題に掲げて、「経済財政諮問会議」を復活させたほか、ミクロ経済政策の司令塔として「日本経済再生本部」を新設し、事業規模にして20.2兆円(国費10.3兆円)もの緊急経済政策を取りまとめました。
 『大胆な金融政策』『機動的な財政政策』『民間投資を喚起する成長戦略』という、いわゆるアベノミクスの「3本の矢」をもって経済を再生するというのが、今の経済政策の柱です。



■「金融政策」 
 まず、なによりもデフレ脱却最優先!
 
 金融政策については、長期にわたる円高・デフレが日本経済に悪影響を及ぼしてきたこと、その大きな原因が、日本銀行が十分な金融緩和政策をとってこなかったことにあることは、否定できない事実でしょう。
 その意味で、まずなによりもデフレ脱却最優先という観点からも、大胆な金融緩和で穏やかなインフレを起こして、景気を立て直していくという政策には、基本的には賛同しています。



■心配なのは「財政政策」
 財政赤字拡大の懸念・・・日本の命運がかかっている!

 しかし、心配なのは財政政策。
 財政赤字の拡大という懸念が、どうしても拭えません。
 補正予算だけのために、総額7.8兆円もの国債を増発。
 補正後の2012年度予算規模は100兆円を超え、なんと52兆円が国債によって賄われています。
 膨らんだ財政負担増を、景気回復~税収増~財政健全化という流れで立て直していくという道筋だと思いますが、「年間22兆円にも膨らんだ国債利払い増」に、「景気回復による税収増」が追いつくまでの“タイムラグ”をいかに短縮できるか!
 ・・・現政権にとっての大きな課題でもあり、いやこの点に、日本の命運がかかっているともいえるでしょう。



■「外交・安全保障政策」 
 安全保障は米国、経済は中国・・・微妙なバランス

 外交・安全保障については、まずは「日米は安全保障上の同盟国である」という立場を堅持する、ということが出発点であるべきだと考えます。
 その意味でも、今年になって日米首脳会議において、日米同盟強化で一致したことは、米国大統領が尖閣諸島問題への協力姿勢を示すに至ったこととともに、大いに評価すべきだと考えています。
 もはや、安全保障については、経済連携等々切り離して考えていくことはできません。
 環太平洋経済連携協定(TPP)参加により、日米が歩調を合わせてアジア太平洋ネットワークを構築していくことは、台頭する中国にどう向き合い、協力を引き出していくかという課題解決の一歩ともなると思っています。

 その一方で、経済的には、いまや日本にとって中国は、最大の経済パートナーであるということも、米国には認識しておいてもらう必要があります。
 いってみれば、安全保障では米国、経済では中国という、「日米中の微妙なバランス」を、TPP交渉参加後も、どのようにとっていくことができるか・・・この点が大きな課題です。



■「税制」 
 “経済のパイ”を生む、ホンネの税制を!

 税制については、基本的には民主党政権時代の流れを引き継いでいるともいえます。
●消費税については、社会保障と一体改革で増税。
●所得税については、消費税増税のタイミングに合わせて、高額所得者は増税。
●相続税も、同じ観点から増税。
●贈与税は、高齢者からの資産移転を促進するために、非課税枠の創設・拡大。
●法人税は、国際競争力の観点から、減税。

 等々の方向性は、前政権と大差がありません。

 税制改正のなかではミクロかもしれませんが、
●日本版ISAの創設、
●従業員の給与支給額を増額した場合の法人税減税(今月の「役に立つ税務会計情報」もご覧ください)
●中小企業の交際費非課税
●延滞税率の見直し 
等は、労働組合との関係も重んじた前政権時の政策とは明らかに異なっています。

 職業会計人の目からみても、実体経済に基づいて、「経済のパイ」を生む、経営者的発想からの“ホンネに近い”税制改正に映っています。



■「教育政策」 
 本質的な教育改革ができるか?!

 教育については、1月に「教育再生実行会議」が発足しました。
 審議内容としては、いじめ問題への対応、教育委員会や大学の在り方の抜本的な見直し、グローバル化に対応した教育等まで含まれています。

 私は、教育については『一身の独立なくして一国の独立なし!』と、かつて福沢諭吉翁が「学問のススメ」のなかで説いた一節を基点に考えることにしています。
 教育委員会についても、民意を反映する首長が、権限と責任の一元化のもとで、特色ある教育行政を展開し、自立した個人が責任をもって教育を選択できるような、本質的な教育改革ができるかどうか!が、課題だと思います。



■「憲法改正」 
 『自らの国の姿を、国民自らが決める!』ことのできる“普通の国”として、
 子供たちに引き継いでいきたい!

 最後に憲法改正については、橋下徹共同代表とともに、安倍首相も、憲法96条の憲法改正発議要件の引き下げに、重ねて言及されています。
 戦後日本は、国の最高規範である憲法を正面から議論するという場面をもつことがなかったことが、国家百年の大計を、責任と自覚をもって議論することに欠けた、最大の背景だと考えています。
 私は、改憲論者でもなんでもありません。 

 少なくとも・・・
 『自らの国の姿を、国民自らが決める!』ことのできる“普通の国”として、
子供たちに引き継いでいきたいだけなのです!

 

 

           平成25年(2013年)6月12日
 

                           山  崎    泰


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