税理士法人ユリウス

相続発生!さあ、どうする?②

18.03.06 | コラム(相続税)

_前回は相続税の基礎控除についてお話しました。
 法律改正により基礎控除は引き下げられましたが、まだ9割以上の方は相続税とは無関係であるとのお話もしました。

 大部分の方は、「うちは相続税は関係ない。よかった、よかった」と思われるでしょう。
 でも、ちょっと待って下さい。 実は相続税より問題なのは残された遺産を相続人の間でどのように分けるかということなのです。

_「うちは大して財産はないから、関係ないよ」と思われる方もいるかもしれません。
 確かに遺産分割は財産が多い程、相続人間の主張が激しく難しいというイメージがあり、これもお金持ちの方々の問題だと思われる方もいるかもしれません。
 しかし、少ない財産をめぐって遺産争いになり裁判にまで発展するケースは非常に多く、実際に、裁判所が毎年発表している司法統計でも財産額が5,000万円以下での争いが全体の約75%、1,000万円以下では約30%となっており、むしろ少額の遺産分割程、揉めるケースが多いことがわかります。相続ならぬ「争族」は富裕層だけの話では決してないのです。
 
 今まで仲の良かった兄弟・姉妹が親の遺産分割の話を契機に急に関係が悪化し、行き来もなくなり話し合いどころではなくなったという例は沢山あります。また、兄弟・姉妹同士は仲が良くても彼らにお互い家族があれば、その配偶者の主張に影響されることもあります。
 特に相続人の子ども達がまだ学生で教育費等にお金が多くかかるような時期であれば、義理の親の遺産を少しでも多くという気持ちもあり、なおいっそう強く主張することもあります。そうなると、お互い兄弟・姉妹同士も何となく気まずい雰囲気になってしまい遺産分割をスムーズに進めていくことが難しくなってしまうのではないでしょうか?
 
 やはり、相続(税)・争族対策は相続開始前、つまり生前から行うべきなのです。

 「自分は元気なので、まだ早い」と思われる方もいるかもしれませんが、まずは親等の将来に被相続人となる方が、生前に自分はどのくらいの財産があり、子ども達にどの財産をいくら相続させるのかをある程度考え、子ども達と話し合いの場を設けることが必要です。
 
 相続人となる子ども達も、被相続人となる親等と普段からよくコミュニケーションをとることを心掛け、時には財産についても思い切って切り出す勇気が必要です。
 そんな話をすると、「俺に早く死ねということか!」と言われそうで抵抗があるかもしれません。
しかし、これは将来、子ども達相続人間が良好な関係を保ちながら、円滑な遺産分割を行う重要なステップであることをお互い認識するための大切な第一歩なのです。

 家族・親族間等で普段からお互いの意思疎通を図り、良好な人間関係を築いておく。
我々税理士等の第三者は、皆様をつなぐ架け橋となりますが、まずは皆様が本気で取り組む気持ちがなければ、我々の役目も果たせません。
 
 そう、相続(争族)対策の第一歩を踏み出すのは皆様自身なのです。


植田ひでちか税理士事務所 
税理士 千田 啓介

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