税理士法人SKC

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体育会系序列体質の制度疲労

18.08.24 | 堺俊治の独り言的情報

 このところ、日大アメフット部やボクシング協会問題もっと遡れば、女子レスリング協会での栄監督問題といずれも組織のパワハラ体質が引き起こした不祥事が続いています。これらの出来事は日本の組織や団体が持つ体質の氷山の一角と捉えるべきなのではないでしょうか。最近パワーハラスメントを訴える労働相談の案件が増加しているといわれていますが・・・

 最近パワーハラスメントを訴える労働相談の案件が増加しているといいます。この現象は最近の働き方改革や、企業のコンプライアンスやガバナンスが注視されるようになった社会情勢の結果、企業のハラスメントが浮き彫りになり、パワハラの実態がようやく表面化してきたというべきで、これまでは怖くて相談すら出来ないほど、パワハラに限らず多くのハラスメントが常態化していたというのが多くの企業や団体の現状ではなかったろうか思います。パワハラの組織的体質は、私が生まれてすぐに父親から、小学校から教師が加わり、中学生からは運動部の部活が加わり、高校の運動部の部活、大学では体育会系運動部と、私にとっては、パワハラは強化されることはあっても減少することなく維持されてきました。教師は生徒を平気で殴る、恫喝する。先輩からのいじめや恫喝は当たり前。きっと今でも、「あの時耐えて鍛えられたおかげで社会人として強く生きてこられた」と本気で思っている高齢者は多いはずです。権力と腕力とハッタリで言うことをきかせるのが当たり前のような時代だったんですね。ということで、戦後教育では民主主義やヒューマニズムの大切を教えるという方針だったにもかかわらず、現実の環境は、多くの子供たちが父親や教師や先輩たちのように威張りたくて、権力志向になりがちな環境だったということではないでしょうか。そうして社会人になって企業組織や団体組織の中で、上の者の言うことは黙って聞く、下の者には言うことを聞かせるという上位下達の体育会系序列組織が形成されます。この組織はおのずと人材採用も体育会系の応募者から採用します。体育会系の新卒者は、有無を言わさない上位下達の体質に慣れているからです。私の最初の職場で「黙って言われたことを遣れ」と先輩によく言われました。「そんなことも分からないのか 馬鹿じゃないのか」とも。そして後輩にはやられたようにやり返します。「何やってんだ そんなことも出来ないのか」ってね。
 金足農業高校などの高校野球を観ていて、運動部も少し変わってきたように感じました。先輩後輩との関係がとてもフランクに見えましたし、監督の態度が昔と随分違っているように思えました。あるチームの監督はTVドラマの「ルーキーズ」の川藤先生の様にも見えました。私の息子が小学生の頃サッカークラブを辞めたのでその理由を聴いてみたら、彼はこう言いました。「好きなサッカーだから懸命にやっているのにどうして怒鳴られなければならないのか分からない。大声で怒鳴られてまでやる気がしない。」
 かつては「怖いからがんばる」「怒られるから練習する」だから、指導者は言うことを聞かせるために、より恫喝し、より怖がらせなければならなかったのでしょう。しかし現在強いといわれるチーム、例えば東福岡高校のラグビー部や青山学院大学のマラソン部などは、上意下達の序列が絶対の体育会系組織とは明らかに違うようです。

 自社を振り返ると上意下達の体育会系型組織が、確かにこれまで自社の結束を強くしてきた要因の一つだったかもしれませんが、確実に若者の育つ環境が違ってきているとしたら、中小企業経営者も、昔先輩に苦労させられたことは一旦脇に置いて、自社の組織をより活性化し創造性のあるチームとするために、リーダーとしてどうにかかわっていく必要があるのか改めて考えていく必要を感じます。

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