税理士法人SKC

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ホワイトギルド

18.11.21 | 堺俊治の独り言的情報

先日読んでいた情報誌でこの「ホワイトギルド」という言葉を初めて知りました。米国の白人が抱いている罪悪感という意味です。過去に米国白人が行ったネイティブアメリカンへの虐殺と迫害、黒人や有色人種また少数民族への迫害や人種差別、さらに性差別、これらに対する罪悪感のことをそう言うようです。

 この論文では米国の民主党を中心とする現代リベラリストと称される政治家の思想的な核に、このホワイトギルドがあると指摘しています。この罪悪感の贖罪意識が、政治的・社会的公正さ、アイデンティティ政治、多様性の崇拝、環境主義といったリベラリストの主張に繋がって、米国人の倫理的正しさとしてクリントン、オバマを大統領にまでさせたとし、ホワイトギルドを抱く人々は、米国に根強くはびこる人種差別、性差別、同性愛者嫌悪などの偏見の持ち主だと、自分が思われたくないためにオバマに投票したと指摘しています。すなわち、この現代リベラリズムは自己の罪悪感を贖罪するための自己防衛であって、欺瞞であるとの論評に、私はとても納得させられました。この論文を読みながら学生の頃に見た「招かれざる客」を思いだしました。黒人擁護のリベラリストとして人気の白人の上院議員の父に、その娘が黒人の婚約者を紹介すると、結婚を大反対されるという筋書きでした。まさにリベラリストの欺瞞を指摘するような映画だったことを思い出しました。ホワイトギルドがアカデミー賞を与えたと言えるのかもしれませんね。

 日本でもマスコミに多くのリベラリストが登場します。マスコミの論調もリベラリストが正しき者というような雰囲気づくりとなっています。皇室を支持したり、戦前からの日本的精神や教育勅語の内容を支持したりすると右翼と呼ばれ、ネットでも安倍内閣や自衛隊を支持するとネトウヨと非難されます。しかし、ホワイトギルドを知って、これって日本のリベラルといわれる人々や新聞・ジャーナリズムも同じではないかと思ったわけです。戦後教育で徹底して「日本は悪いことをしてきた」「戦争の罪を償わなければならない」と教えられてきました。新聞・ジャーナリズムは大東亜戦争当時、大衆迎合で戦争を煽り立てました。戦争を煽れば新聞が売れました。新聞各社は、当時の報道を振り返れば、大本営発表に喝采し日本国民を戦争に駆り出す片棒を担いでしまったという罪悪感があるはずです。朝鮮や中国の人民に、東アジアの国々に、日本はひどいことをした。その片棒を担いだ新聞報道と、ジャーナリズムはその罪悪感を今もなお抱いているのではないでしょうか。それが反権力、反戦争、の贖罪報道になっているのかもしれませんね。日本のリベラリストといわれる政党や評論家もその罪悪感の贖罪としてリベラリズムという自己正当化の方法を手にしているのかもしれません。だからでしょう、安倍内閣を倒すことは反権力の象徴だし、9条改正阻止は反戦の象徴です。だからこれからの日本をどうしていったらいいのか、この所得格差が広がる社会をどうしていったらいいのかなどには興味がないのでしょう。

 ホワイトギルドを抱く米国のリベラリストが、米国の増加する貧困層に対する解決案が出せないように、戦後の加害者意識を抱く日本のリベラリストも、広がる格差や貧困層に対する解決策は提示できないようです。

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