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税理士の佐藤です・・・100年を見据えた経営

18.12.10 | 所長通信

素晴らしい経営理念を掲げて、48年間連続で増収増益を続けた会社が有ります。
扱っている商品は、世の中の最先端を行くハイテク商品でも何でもありません。
「寒天」です。
この時代遅れの斜陽産業ともいえる商品に、時代にあった新しい付加価値を考え続けて増収を続けています。
この会社の経営理念とは・・・?

この会社は長野県にある、伊那食品工業株式会社と言う、社員が400人ほどの会社です。
経営理念とは、会社は何のために世の中に存在するのか・・・?と言うことですが、
この会社は、「会社を取り巻くすべての人がいい会社だ」と言ってくれる会社になる事、
そして「会社は社員を幸せにするためにある」と高らかに謳いあげています。
 そしてこの経営理念に沿って、3つの経営方針が定められています。

1、無理な成長は追わない
 景気の波に踊らされて過剰な投資をすれば、不況の時に過剰投資になり、リストラや賃金カット値下げに苦しむことになります。
好況時に、今投資すれば間違いなく儲かるというときに投資をしないというのは、簡単なようで意外と難しいものです。
ある時、寒天が健康に良いと言うことで、一大ブームになって注文が殺到したことがあるそうです。
その時も社長は、これは一過性の流行だからこのブームに乗ってしまうと、将来社員に悪いことが起こるし、社員に残業させたくない、
と言うことですべて断ったそうです。
ところが、逆に社員の方から、
商品が無くて困っている人がいるんだから応えてあげましょう、私たちはかまいませんから・・・
と言うことで、増産に応じたそうです。
案の定、その後ブームは去ってしまい、48年間の増収増益と言うのは、そこで途切れてしまったそうです。
同じ理由で、大手スーパーからの何億何十億という注文がきても断っているそうです。
従ってこの会社は、増収増益を続けてきているのですが、
その伸び方は細かく見ないと分からないほどの地味な成長を続けています。
この経営を『年輪経営』と言う人もいます。

2、敵を作らない
経営をする上での敵は同業他社になる訳ですが、
自分の会社の繁栄の陰で泣いている人を作らないと言うのも、経営方針の一つです。
どうすればそんな経営ができるのでしょうか・・・?
それは、オンリーワンの経営を目指すということです。
この世に無かった商品、他社にはできない商品、しかもお客様のニーズのある商品を作り続ければ、敵などできるわけはありません。
下請け企業に対しても、注文を出しているという立場を利用して、無理な注文をすることはありません。
下請け企業とも、十分な配慮をしてあげて、ウィンウィンの関係を構築し、敵を作ることはしません。
努力をしているのに利益が出ない会社には、単価を上げてあげたり収益が出るようにアドバイスをしたりしているそうです。
すると下請け企業とその社員までが、
あの会社はいい会社だ、あの会社の為に頑張ろう、
と心の底から思ってくれるようになってくれるそうです。

3、成長の種まきを怠らない
では何故、この会社は次から次へと新商品ができるのか?
研究開発は、千三つの例えの通り、千に3つくらいの確率でしか成功することはありませんが、
それでも0.3%の可能性を信じて種をまき続けるしかない、種をまくだけではなく水や肥しを与え続けなければなりません。
しかし、この会社にとって一番大切なことは、業績を上げることではなく、継続することです。
そのためには成長し利益を出し続けるしかない、社員を大切にするために事業を継続させたい、
という思いが新商品の開発や業績に結び付いているのです。

このような理念と経営方針の元で、この会社は100年を見据えた経営をしています。
一枚の紙に、2000年から2100年までの100年分の暦が印刷されたカレンダーが、食堂や会議室に貼ってあります。
100年先を見据えて経営をするなら、目先の無理に利益を追わない理由も見えてきます。
一方で、そのカレンダーには自分の命日も必ずある、ということに気付きます。
これから長く続く時間と、限りある時間の両方を視野に入れながら、
今日一日を大切に生きて行くことに繋がっているということです。

                   「日本で一番大切にしたい会社」坂本光司著より

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