税理士法人テラス

医療法改正によりホームページ広告は規制対象に

18.07.10 | ビジネス【企業法務】

病気になった人が、病院や歯科医院等(以下、医療機関)に行こうとする際、
医療機関のホームページに掲載されている情報を参考にすることが多いと思います。

そのため、自由診療の美容医療や審美歯科を行っている医療機関は、
集客のため、ビフォーアフターの写真や患者さんの体験談が載っているホームページを作成し、
広告を出していることがよくありました。

しかし、今後このようなホームページによる広告はなくなるかもしれません。

医療法改正によるインターネット広告規制の流れ

医療機関の広告については、医療法という法律によって、広告できる内容や広告できない事項について様々な規制がされています。そして、規制対象となる広告に該当するかどうかは、以下の3つの要件を満たすかどうかで判断されていました。

1.患者の受診を誘引する意図があること(誘因性)
2.医療機関名が特定可能であること(特定性)
3.一般人が認知できる状態にあること(認知性)

これまで、医療機関のホームページについては、自分で検索して見つけ出さなければ認識できなかったため、『認知性』の要件が欠けるとして、広告規制の対象とはされていませんでした。
しかし、インターネットの普及やインターネット上の広告の増加に伴い、特に美容医療サービスに関して消費者トラブルが増加したことから、平成27年7月、消費者委員会から『美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議』が出され、議論の結果、第193回国会において医療法が改正され、医療機関のホームページについても広告規制の対象とされることになりました。その改正医療法は平成30年6月に施行されております。


医療機関ホームページに対する規制概要

医療機関のホームページについては、改正医療法および医療広告ガイドラインに基づいて規制されることになります。
医療機関のホームページにおける広告につき、医療法は広告可能な事項を限定列挙し、その列挙事項以外は、原則として広告を禁止。例外的に一定の条件を満たしたホームページについては、広告規制の一部が解除されることとしています(いわゆる広告可能事項の限定解除)。

そして、禁止される広告についての概要は以下のようになっています。
まず、内容が虚偽の広告、誇大な広告、他の医療機関と比較して優良であることを示す広告などは、禁止されます。
次に、患者さんの主観に基づく体験談も原則として禁止されます。患者さんの体験談については、患者さん個人が運営するWEBサイト、SNSの個人ページ、第三者が運営する口コミサイト等への体験談の掲載は、医療機関が広告料等の費用を負担する等の便宜を図って掲載を依頼しているような場合を除き、許可されます。
さらに、いわゆるビフォーアフターの写真については原則として掲載が禁止されますが、例外的に治療のリスクや副作用、治療の費用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合は掲載が可能となっています。

このように、医療法改正により、従前は許されていたホームページによる広告は、法律による規制対象となりました。すでに厚生労働省では医療機関のホームページに問題のある記載がないかどうかを巡回して監視を始めています。今後は医療機関のホームページの記載には注意が必要です。

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