大阪プライム法律事務所

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尊厳死協会の不認定取り消し 東京地裁

19.01.27 | 非営利・公益

一般財団法人「日本尊厳死協会」が、内閣府に2回目の公益認定申請をするも、それも不認可とされたことから、その不認可処分は違法不当であるとして、国(内閣総理大臣)に対して不認定処分の取り消しなどを求め訴訟をしていましたが、本年1月18日に、東京地裁で、不認可処分を取り消す判決が下されました。

■[時事通信社記事より]
古田孝夫裁判長は「不特定多数の利益の増進に寄与する公益目的事業を行っている」と述べ、処分を取り消した。認定義務付けの訴えは退けた。判決によると、日本尊厳死協会は終末期の延命治療の拒否を意思表示する「リビング・ウィル(尊厳死の宣言書)」の普及・管理事業を実施。2015年に公益認定を申請したが、国は16年、「認定すれば国が事業に積極的評価を与えたと認識され、医療判断に大きな影響を与える可能性が高まる」と認めなかった。古田裁判長は「認定は行政庁が事業に賛同したことを意味せず、医療判断に影響が生ずるとは認められない」と判断した。 

■判決の意義について
2度目の不認定処分に対して、この法人が処分の取り消しを裁判所に求めた結果示された今回の認容判決は画期的なものと言えます。一方で、さらに積極的に公益認定も判決で行うよう求めたいわゆる「義務づけ」訴訟については棄却しておりこの点も注目できます。

内閣府の不認定理由では、「認定すれば国が事業に積極的評価を与えたと認識され」弊害が生まれるなどとしていましたが、判決では、「認定法に基づいて行政庁がする公益認定は、申請事業が公益目的事業、すなわち『不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの』であると認定したことを意味し、その限度において積極的評価を与えているものであるが、そのような法律上の位置づけを超えて、当該行政庁が当該事業に賛同しているとか、当該行政庁の方針が当該事業を行う法人の方針と同一であるとかといったことまで意味するものではない」という、ある意味当然のことを示しました。

この判決は、今後の公益認定手続きに一定の指針を明確に示したものであるのと、不認定への救済の可能性を示した意味でも、公益法人関係者にとって意義深いものと思います。

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