宮田総合法務事務所

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生保各社が販売停止した「節税保険」もまだ入れる!?

19.02.25 | ビジネス・事業経営にお役に立つ情報


中小企業の経営者が死亡すると数億円単位の死亡保険金がもらえる生命保険商品で、払い込んだ保険料を全額会社の経費として計上できる上(「全損」と言われる)、一定期間経過後に中途解約すると保険料の大部分が「解約返戻金」として戻ってくる設計である故、中小企業の節税策の常套手段として利用されてきたのが、いわゆる「節税保険」です。

今回、過度に法人税の節税効果を高めた内容や売り方を問題視してきた国税庁と金融庁が、この「節税保険」にメスを入れ、生保各社は節税保険の販売停止や商品の見直しを迫られている。

だが、全ての保険会社の節税に使える保険商品が販売停止になった訳ではないことに注意して頂きたいです。

支払った保険料を全額会社の経費として計上できる「全損型」の経営者向け生命保険は、経営者にとっては、節税策の常套手段の一つ。

今回、いよいよ金融庁と国税庁がそれぞれの立場から生保業界に対し節税保険の見直しを迫っている状況です。


まずは、金融庁と国税庁のそれぞれの立場を紹介しましょう。

金融庁は、節税保険に限らず、すべての保険商品を個別に認可しているのが現状ですが、金融庁が問題視しているのは、認可対象外の「付加保険料」と呼ばれる運営コスト部分。

この付加保険料を高く設定すると契約者が支払う保険料も高くなり、それだけ損金扱いできる金額(節税効果)は大きくなります。
生保各社は、事前の認可なしに設定できる付加保険料を過度に高くし、損金扱いできる保険料を膨らませる過当競争を繰り広げてきたといいます。

付加保険料が自由化されたのは、生保会社の営業努力でコストを圧縮し保険料を安くできるようにするためだったはずですが、節税保険の場合は、付加保険料を高くするほど節税したい顧客のニーズを満たすという逆転現象が起きており、金融庁としては、「節税効果を高めるための恣意的な付加保険料の操作には合理性がない」として、生保各社に是正するよう指導してきた経緯があります。
金融庁は、節税自体を問題視しているというより、売り方や恣意的な付加保険料の設定に対して監督を強化しているといえます。


一方、国税庁は、そもそも途中解約で支払った保険金の大部分が戻ってくることが前提なら、「損金」でなく「資産」として計上すべきだという立場。
このため、少なくとも保険料の全額を税務上の損金にできる現在の仕組みは見直すべきだとして、今回の生保業界に厳しい措置につながりました。


生保各社は、このような金融庁と国税庁の意向を受け、全損型の節税保険の販売停止はもちろん、「半損型」の保険商品も販売停止したり、商品設計の見直しをしているところが多いと聞きます。


しかし、「節税保険の販売全面停止」の報道が強い印象を与えているものの、実は全ての保険会社が足並みを揃えて節税保険の販売停止をしている訳ではないことはあまり知られていない様です。

金融庁のお墨付きを得た半損型の保険商品を引き続き販売している保険会社もあります

もしご興味がある方は、弊所までご連絡頂ければ、ご案内をさせて頂きます(弊所が保険代理店として保険商品を販売する訳ではございません)。

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