江原会計事務所

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時間やお金をかけずにできる集客対策『SMO』とは?

19.03.05 | 業種別【飲食業】

日本政策金融公庫が2016年末に発表した『新規開業パネル調査』によれば、2011年末に存続していたことが確認された企業3,046社のうち、2015年末までに10.2%が廃業しており、廃業した企業の業種別割合で最も高かったのは『飲食店・宿泊業』の18.9%でした。
飲食店は、新規参入が多いと同時に、過酷な競争に勝てず撤退する企業も多い業種です。
生き残っていくためには、集客のテコ入れをしたいけれど、宣伝のための費用や時間は割けない……。
そんな飲食店の悩み解決に『SMO』が一役買うかもしれません。

暇なし、低収入……集客を阻む負のスパイラル

国税庁の『会社標本調査』によると、料理飲食旅館業の欠損法人(赤字法人)数の割合は、平成28年度が73.8%、平成27年度が75.1%、平成26年度が78.0%。
つまり、飲食店で実際に利益を上げているのは3割程度という結果が発表されています。
赤字経営を黒字化することは、多くの飲食店経営者が抱える課題といえます。
とはいえ、その対策をじっくり考えたり、実行に割ける時間がなかなか取れないのも、飲食店経営のリアルな一面です。

2018年、飲食店の開業・運営情報サイト『飲食店.COM』が会員の飲食店経営者を対象に行った『「飲食店経営における悩みや課題」に関するアンケート調査』では、月に取れている休日数は5~6日という回答が一番多く、次いで4日以下がランクイン。
週休2日を取れているのはごく少数派で、8割の飲食店経営者の休日が月6日以下であることがわかりました。
経営者自ら忙しく働く個人店の場合は、さらに休みが取れていないことが推測されます。
さらに同アンケートによると、経営者本人の年収は『299万円以下』が最多という結果でした。
飲食店経営や勤務で最も苦しいことが、この収入の低さと、休みの取れなさと言われます。
飲食店.COM【株式会社シンクロ・フード】調べ

このように資金も少なく、休む暇もない営業形態だと、『集客』にも問題が生じてきます。
売り上げアップのために試行錯誤したり、グルメサイトなどと協力してお客を呼び込んだりといった時間は、とうてい割けないケースも。
また、昨今大きな集客ツールとなっているInstagramなどのSNSも、忙しくてなかなか使いこなせていない店舗が多いようです。


時間やお金を極力かけず、集客を伸ばすには

費用も時間もない飲食店に、低コストで効果のある集客対策として、近年注目されているのが『SMO』です。
SMOとはSocial Media Optimization(ソーシャルメディアオプティマイゼーション)の頭文字で、ソーシャルメディア上で自身のコンテンツにアクセスしてもらうための施策のこと。
その一つが、SNSユーザーが自主的に発信してくれる『口コミ』を狙う方法です。

店のホームページやSNSアカウントをつくり、そこから発信する場合は、それなりの費用や時間がかかってしまいます。
しかし一般のお客が自らすすんで行う口コミなら、店側の手間はほとんどいりません。
店の料理やインテリア自体をコンテンツとすれば、それを魅力的な形で提供し、あとはお客がどう発信してくれるかを考えればいいだけです。

具体的には、どうすればよいのでしょうか?
口コミを投稿したいと思うきっかけは、店の雰囲気以上に、やはり料理が重要です。
味はもちろんですが、その魅力をより伝えてもらいやすくするため、投稿栄えする盛り付けや、キャッチーなコンセプトなども工夫してみましょう。
また、テーブルの上に“#(ハッシュタグ)+店名”のポップを立てる、口コミを投稿してくれたお客にはワンドリンクをサービスするなども、投稿を促す後押しになるでしょう。
軌道に乗ってくれば、近隣店舗と協力したサービスなどを展開してみるのも一案です。

口コミは、一般客の素直でリアルな意見がシンプルな言葉で拡散されるため、それがさらに一般客を呼ぶことになり、集客成功につながりやすくなります。
また、口コミという性質上、サービスや味など「こうしてほしい」という具体的な感想も書きやすいため、店側から必死にリサーチをせずとも、楽に情報収集ができるのも大きなメリットです。

口コミの数が増えるほど、店の注目度は高まります。
ただし、その口コミで悪評を書かれてしまっては意味がありません。
美味しい料理や居心地よい雰囲気、そして優良なサービスを提供していることが前提です。
口コミで人気となった店舗なども手本に、自分の店らしいスタイルを探り、集客アップを実現していきましょう。


※本記事の記載内容は、2019年3月現在の法令・情報等に基づいています。

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