企業版ふるさと納税でどれくらい節税できる!?
19.03.26 | 【税務】
地方創生の一環として、自身の故郷や応援したい自治体に寄付する『ふるさと納税』。
今回は、2016年度の税制改正によってスタートした『企業版ふるさと納税』について、ご紹介します。
地方創生の一環として、自身の故郷や応援したい自治体に寄付する『ふるさと納税』。
寄付した側が所得税や住民税の還付や控除が受けられる上に、返礼品がもらえるとあって、2018年度には、295万人以上がこの制度を利用し、寄付額の合計は3,481億円を突破しました。
今回は、2016年度の税制改正によってスタートした『企業版ふるさと納税』について、ご紹介します。
<『個人版』と『企業版』の違いとは?>
『企業版ふるさと納税』とは、正式には『地方創生応援税制』といいます。
「地方創生を応援する」という根本的な考え方は、個人版のふるさと納税と変わりありません。
『個人版』では、寄付額の大部分が控除されますが、『企業版ふるさと納税』でも、法人住民税、法人税、法人事業税から一定の割合が寄付額から控除されます。
『企業版ふるさと納税』が創設される以前は、企業の地方自治体への寄付は、損金算入として、寄付額に対して約3割の税の軽減効果がありました。
その後、『企業版ふるさと納税』がスタートすると、そこからさらに寄付額の最大3割が控除されることになりました。つまり、寄付額の最大6割もの税負担が軽減されることになったのです。
税額控除の詳細は以下のとおりです。
①法人住民税
寄附額の2割を税額控除(法人住民税法人割額の20%が上限)
②法人税
法人住民税の控除額が寄附額の2割に達しない場合、寄附額の2割に相当する額から法人住民税の控除額を差し引いた額を控除(寄附額の1割、法人税額の5%が上限)
③法人事業税
寄附額の1割を税額控除(法人事業税額の20%が上限、ただし、平成29年度の地方法人特別税廃止後は15%)
また、『企業版ふるさと納税』は、地域創生の計画を立て、国がその地域創生事業を認定している自治体に限ります。
認定された地域創生事業に関しては、内閣府や地方自治体のHPなどで発表されています。
そのため、企業はその自治体の地域創生事業に賛同できると思ったり、地方公共団体から寄付の申し入れがあったりした場合に、検討した上で寄付を行うことができます。
<『企業版ふるさと納税』を行う際の注意点>
地方を応援し、社会貢献を対外的に大きくアピールできるのは、企業のイメージアップにもつながります。
現在、多くの企業がこの『企業版ふるさと納税』を行っていますが、いくつか注意点もあります。
まず、『企業版ふるさと納税』には、個人版のような返礼品はありません。寄付を行うことの代償として、地方自治体から利益を受け取ることは禁止されています。
具体的には、入札等で便宜を図ったり、有利な利率で融資を行う等が当てはまります。
また、寄付の払い込みについては、地方公共団体が創生事業を実施し、事業費が確定した後に行い、本税制の対象となる寄付は、確定した事業費の範囲内までと定められています。
ほかにも、自分の会社の本社(地方税法における「主たる事務所又は事業所」)がある地方自治体には寄付することができないようになっていたり、寄付は10万円以上に定められていたりと、留意しなければいけない点はいくつかあります。
活用する前に、ポータルサイトでチェックしたり、専門家からアドバイスを受けたりするなどして、正しい知識を得ておくことが大切です。
今、多くの企業から注目を集めている『企業版ふるさと納税』。
税金が控除されるという大きなメリットがあるうえに、社会貢献を行うことによる会社のイメージアップにもつながります。
自社の事業に合致する地方自治体の創生事業を応援することは、将来的に大きなリターンとなることも考えられます。
活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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