税理士法人ユリウス

第2回 変動損益計算書と損益分岐点分析

14.09.02 | 【連載】会計で会社を強くする!月次決算の活用方法

税法や会社法では年に1回の決算が求められますが、実際の経営にあたって、年に1回だけの決算では心もとないものです。
そこで、経営状態をチェックする方法として、毎月決算を行う「月次決算」が広く行われています。
月次決算では「変動損益計算書」を作成してそれが読み解ければ大丈夫です。

「月次決算って言うけど、あの大変な決算を毎月やるのですか?」と、心配される社長さんもいらっしゃるかもしれませんが、月次決算では年度決算ほどの厳密な処理は必要ありません。
経営者として知っておきたいポイントがわかればいいのですから、そのための資料を作ればよいのです。

業績の把握に有効な資料として「変動損益計算書」があります。
これは、期末決算の損益計算書のように法律で定められているものではなく、あくまでも社内の業績管理に活用されている様式です。

変動損益計算書では、費用は「変動費」「固定費」に分けて表示されます。

 変動費 : 売上高の増減によって変化する費用 ・・・ 商品仕入原価、材料費など
 固定費 : 売上高の増減に関係なく発生する費用 ・・ 人件費、地代家賃など

変動損益計算書から、業績をわかりやすく読み取ることができます。


 第一段階:
 戦略家としての成績…自社の商品・サービスが顧客や市場に評価された結果

  売った(売上高)- 買った(変動費)= 儲かった(限界利益)

 第二段階:
 管理者としての成績…経費を儲けの範囲内に抑えることができたかどうか

  儲かった(限界利益)- 使った(固定費)= 残った(経常利益)


それでは、変動損益計算書の例を見てみましょう。
「売った・買った・儲かった・使った・残った」の5つのポイントがどこに表わされているでしょうか。

 


 
続いて、経営管理の指標として「限界利益率」「損益分岐点売上高」をご紹介します。


「限界利益率」は、たとえば売上が100万円増えたとき、儲けはいくら増えるかをパーセントで表したものです。先ほどの変動損益計算書の数字を使って、限界利益率を求めてみましょう。

限界利益率(%)= 限界利益 600万円 ÷ 売上高 1,000万円 × 100 = 60%

限界利益率は儲ける力を表す指標で、この比率が高いほど良い会社といえるでしょう。


「損益分岐点売上高」は、損益がトントン、つまり、経常利益がゼロとなる売上高を指します。
先ほどの変動損益計算書の数字を使って、損益分岐点売上高を求めてみましょう。

損益分岐点売上高 = 固定費 500万円 ÷ 限界利益率 60%(0.6) ≒ 834万円

この場合、売上が834万円以上あれば利益が確保できるということになります。

次の図では、売上高が損益分岐点売上高を上回ると利益が出ることが表わされています。



変動損益計算書損益分岐点分析の二つのツール。
ぜひ活用して経営にお役立てください!


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