税理士法人SKC

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れいわ新選組のMMTについて

19.07.30 | 堺俊治の独り言的情報

  MMTとはModern Monetary Theoryの略称で、日本語では現代貨幣理論、あるいは新表券主義といわれています。政府の財政支出は税収に制約される必要はなく、自国通貨建て国債発行によって財政支出額で調整すれば、一定のインフレレベルを目指した経済政策を実行することが可能であるとする経済理論です。最近米国の学者などによって提唱されています。

  通常の経済理論では、政府の財政赤字が拡大すれば、金利上昇し、円は下落し、景気悪化の招くと言われてきました。だから財務省は赤字国債発行を極力抑えようとし、プライマリーバランス(財政均衡)重視の政策を優先してきています。メディアで流れる大方の経済理論では、赤字国債が増えると財政破綻する、日本国が破綻するなどと報道されています。しかしMMTの主張は、財政赤字拡大し赤字国債(政府債務)が増えても、景気悪化を招くとは限らずマネーサプライの増加によるインフレ圧力がかかるだけで、債務超過による財政破綻もしないとして、財務省の政策とは真っ向から対立しています。
 この経済理論は、大筋では経済評論家の上念司氏が唱えているプライマリーバランスの改善など必要ないという理論とよく似ています。上念氏はプライマリーバランス優先の財務省の政策を中心に置く自民党の経済政策の結果、緊縮財政になり景気が減退すると批判しています。MMTを知ってか知らずか解りませんが、中国はプライマリーバランス無視で元をバンバン発行して急成長してきました。米国もトランプ大統領がプライマリーバランス無視の減税政策を施行して景気の底上げに成功しています。ただ、際限なく通貨の発行ができるかというと、その結果のインフレ率の限度をどこに置くかで制限する必要があると言われています。
 このMMTで理論武装して、れいわ新選組の山本太郎氏は参議院選挙比例区で、極めて魅力的な経済政策を展開して、若者等から多くの得票を得ました。消費税を全面的に廃止して、景気を浮揚し、累進税率の適用で税収をカバーし、税収の不足分は国債発行で通貨を増して、その財源で福祉対策・経済的弱者対策をするといっていますが、MMTの経済理論からは理にかなった政策であり、政府債務が増えても財政破綻はしないという理論的裏付けに沿っています。マスメディアの経済評論家といわれる連中からは荒唐無稽と一笑に付されるかもしれませんが、プライマリーバランス優先の財務省の政策に異を唱える人たちからは注目されています。
 安倍政権は参院選で勝利しましたが、山本太郎のれいわ新選組が200万票を超える得票を得ました。出口の見えないような閉塞感の中で、非正規労働者や経済的困窮している若者たちが増えているといいます。こんな若者たちにとって、少しでも期待を持たせてくれるのがれいわ新選組の経済政策だったかもしれません。このれいわ新選組の投票結果を軽く見ないで、安倍政権も、財務省を超える経済理論武装をして根本的社会改革をして欲しいものです。

 

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