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売れ残った季節商品など商品価値が下落した際に、棚卸資産の評価損の計上は認められる場合とは!?

19.08.21 | 【税務】

婦人服など季節や流行によって売上が左右される商品は、販売時期を逃すと商品価値が著しく低下してしまうことがありますが、その時の税務処理はどのような処理になるのでしょうか。

婦人服など季節や流行によって売上が左右される商品は、販売時期を逃すと商品価値が著しく低下してしまうことがあります。一方で、商品などの棚卸資産は、法人税法上、帳簿価額(仕入価額)で評価することが原則とされていますが、この原則だけで棚卸資産を評価すると、季節商品などのように、商品価値が下落して今後価額の回復が見込めない場合は、実質的な損失が全く考慮されない事態になってしまいます。

そこで、法人税法では、一定の事実が生じたことによって時価(処分可能価額)が帳簿価額(仕入価額)を下回ることとなった場合等には、特例が認められています。
法人が有する商品・製品などの棚卸資産については、(1)災害による著しい損傷、(2)著しい陳腐化、(3)これに準ずる特別な事実、によりその価額(時価)が帳簿価額を下回ることになった場合には、その差額を期末時価までの評価損として計上することが認められています。

棚卸資産の著しい陳腐化については、通達において、「棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず、経済的な環境の変化に伴ってその“価値が著しく減少”し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する」とされ、「売れ残った季節商品で、今後通常の価額では、明らかに販売できなくなったこと」と例示されています。
尚、「これに準ずる特別な事実」には、破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等により通常の方法では販売できなくなったことが該当します。例えば、文房具など箱単位でまとめて仕入れた商品を1個ずつ販売するために、売れ残った在庫が長期間棚ざらしになって変色してしまった場合が該当します。なお、棚卸資産の時価が、単なる物価変動や過剰生産、建値の変更などの事情で低下しただけでは、評価損の計上はできないので注意が必要です。

さらに、「その商品と用途の面では概ね同様のものだが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、その商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと」も著しい陳腐化の事実に該当するとしています。上記の「価値が著しく減少」の減少の程度については、具体的な数字を定めた通達等はないですが、棚卸資産の期末の時価が、帳簿価額の概ね50%以下になった場合とみられています。

季節ものの商品等を扱っている場合には、評価損の計上が可能かどうか、検討してみてはいかがでしょうか。

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