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観光を兼ねた海外出張費は、どこまで経費として認められる?

19.09.18 | 【税務】

最近は視察と観光を兼ねた“海外視察ツアー”が人気のようです。視察と観光とでは支出する費用の目的が異なることになりますが、その渡航が業務上必要でかつ通常必要な金額であれば、海外視察などの経費は旅費として処理できます。では、観光を兼ねた海外渡航費の場合は、どのように処理をすべきなのでしょうか?

<海外渡航費用を業務と観光で区別する>
海外へ視察や出張に行く際、ついでに観光を、ということもあるでしょう。その際の税務会計処理が曖昧だと、税務調査で指摘される可能性が高くなります。
観光を兼ねた海外視察費などの扱いについて、国税庁では次のように定めています。
『その海外渡航に際して支給する旅費を法人の業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等によりあん分し、法人の業務の遂行上必要と認められない旅行に係る部分の金額については、当該役員又は使用人に対する給与とする』。

つまり、海外渡航費用の税務上の取扱いはその目的と内容により異なり、原則として業務に関連する部分は「旅費」、会社が負担した観光に関する部分はその役員等の「給与」とされることになります。また、視察旅行をしたのが得意先など外部者の場合には「交際費」とされます。


<“業務従事割合”を算出する>
 海外渡航費の旅費としての損金算入額または必要経費算入額を計算するには、旅行日程を業務と観光とで分ける必要があります。日数の区分については、昼間の通常業務時間(約8時間)を1.0日として、おおむね0.25日単位で日数を割り出します。そして、その日数を以下の式に当てはめ“業務従事割合”を算出します。
『視察などの業務に従事した日数』÷(『視察などの業務に従事した日数』+『観光した日数』)=業務従事割合
例えば、この業務従事割合が50%以上であれば、海外渡航が業務遂行上必要であると認められるため、飛行機の往復運賃とその他の旅行に要する費用に業務従事割合を乗じた金額が旅費として認められます。


<行程表や領収書などのエビデンスを保管しておきましょう>
 下記に該当するものは原則として業務に関連するものではないとされています。
①観光渡航の許可を得て行う旅行
②旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
③同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの

ただし、実務上わざわざ就労ビザを取得しないで観光ビザで行く場合も多いと思いますので、業務への関連性があることをきちんと説明できれば、旅費としての計上は可能だと考えられます。

また、役員が、その親族又は業務に常時従事していない者を同伴した場合、会社が負担した同伴者の旅費については、特別な場合を除き、同伴させた役員等の給与とされます。

海外渡航費は税務調査の際に必ずと言っていいほど確認される項目です。業務上必要なものであるかどうか・同伴者はいるか等を、エビデンス(旅行会社等による行程表、移動、宿泊、飲食関連の領収書等)等をもとに確認されますので、しっかりと保管・記録しておきましょう。

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