江原会計事務所

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会社のナンバー2がビジネスを左右する! 名参謀の育て方

19.09.10 | ビジネス【人的資源】

豊臣秀吉における黒田官兵衛や、上杉景勝における直江兼続など、歴史に名を残した戦国武将は、必ずといっていいほど名参謀を抱えていました。
また、現在のビジネスの世界でも、名だたる大企業には必ずといっていいほど会社を支える名参謀が存在します。
今回は、社内における参謀の重要性や、その育て方などをご紹介します。

会社の成長の陰には名参謀あり

武士の世界における参謀は、戦略や戦術面を武将たちに進言するだけでなく、政治や諸国との外交に関しても助言をし、武将たちの国づくりの一助となりました。

また、武士の世界に限らず、商売の世界でも参謀という存在は重要視されてきました。

江戸時代の商家には、必ず番頭と呼ばれる存在がおり、店の営業活動はもちろん、家政などについても権限を与えられていました。

もう少し時代を進めると、日本の大企業にも、この参謀や番頭にあたる人物の存在を確認することができます。

世界的な自動二輪・四輪メーカーの本田技研工業では、創業者の本田宗一郎と、彼を支えた藤沢武夫との関係が有名です。
本田宗一郎は藤沢武夫に全幅の信頼を寄せ、会社の実印はもちろん、経営にまつわるさまざまな決定権を託し、自身は製品開発に没頭したといいます。
本田宗一郎が技術でホンダを支え、藤沢武夫は経営の面からホンダを支えたのでした。

トップをサポートする参謀の存在は、会社を成長させていくうえでも必要不可欠だといえます。

大きな権限を与えることで参謀は育つ

では、現代のビジネスの世界では、参謀とは具体的にどのような動きをする人のことなのでしょうか。

参謀の仕事はいくつかありますが、その一つとして、トップの意思決定の場における情報提供があげられます。

会社の経営者は、重要な局面で意思決定をしばしば迫られます。
その際、意思決定に必要な情報をどれだけ集められるかが参謀としての腕の見せどころです。
情報が足りないと、トップにまるで博打のような判断を迫ることになってしまい、会社の屋台骨を揺るがしかねません。
参謀には、会社の従業員からはもちろん、社外の人脈からも必要な情報をすくい上げて進言し、できるだけトップの意思決定がスムーズにいくように動くという能力が問われます。

また、トップの意思を部下にわかりやすく伝えるという役割も担います。

常にトップの側にいる参謀は、トップから直接経営哲学を学びます。
対外的な交渉や自身の業務などに追われるトップの代わりに、経営に関するトップの意思を各部署や部下に伝えるのは、参謀の重要な役割なのです。
また、トップの代わりに、各業務、プロジェクトがスムーズに動くよう、指導・管理するのも、参謀の役目です。
参謀はいわばトップの分身のようなもの。
必要に迫られれば、トップに成り代わって意思決定を行う場面もあります。
仕事内容は変わったとしても本質的には参謀や番頭とその立ち位置は変わりません。

そんな参謀を育てるには、自身の裁量で動かせる仕事をどんどん任せていって、さまざまな経験を積ませることが大切です。

大きな仕事は、当然、大金が動きますし、大勢の人も動かさなければなりません。
その経験は人を大きく成長させますし、会社経営に関する理解にもつながります。
もちろん失敗することもありますが、その失敗も経験の一つ。
失敗を経験しているからこそできる助言や気づくヒントもあります。

また、参謀候補に早くから子会社の社長や、支店の支店長を任せるなどして、自身が一つの団体をまとめる経験を積ませるのも一つの方法です。
実際、現在、日本の大企業の参謀と呼ばれる人々は、国内外の子会社や関連会社の社長を務めた人がほとんどです。

参謀はトップと共に会社を支え、会社を成長させていく大切な存在です。
器が人を作るといいます。見込みのある優秀な部下を名参謀に育て上げるには、思い切って、大きな権限や仕事を与えてしまいましょう。
なかには、部下が失敗することをおそれて躊躇してしまうトップもいるかもしれません。しかし、それでは部下は育ちません。
名参謀が生まれるかどうかは、優秀な部下の有無だけでなく、トップの器量にも左右されるのです。


※本記事の記載内容は、2019年9月現在の法令・情報等に基づいています。

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